内向型の逆襲

念のため言っておきますが、ブログ名がとてつもなくダサいことは認識していますよ

念願のハイスタ初単独公演@広島その2

AIR JAM98以来20年ぶりのハイスタ。

ヒロシマでハイスタっていう響きも個人的に気に入っている。

 

20年の想いもあって、あの頃と同じ気分に浸るため、ツイッター、インスタ等ハイスタツアー情報が漏洩しているであろうSNSやメディアは全てシャットアウトしました。

そんなものライブ前に見てもしょうがない。

ライブに行く前に誰かの感想も聞きたくないし(最高に決まってる)、セットリストも知りたくない。

 

映画を観る前に結末知るようなもの。

録画していたサッカー観る前に試合結果報告見る?

それと同じです。なんの先入観もなしに、ただ音を感じたい。

 

自分が会場で感じるもの、それだけが全て。

 

98年当時はそうでした。それが可能な時代でした。

 

サウンドチェックも終わり、観客から早く始めろの雄叫びが頻繁に上がり始めた頃、照明が落ちる。

20年ぶりのハイスタンダード、いよいよ降臨しました。

拍手が鳴り止まない。

 

■いよいよハイスタ登場

広島公演はなんと19年ぶりとのこと、広島近辺の人々も僕と同じような思いをしていたんですね。僕個人の20年の想い、広島の人々の19年の想い。

熱いライブにならないはずがない。

 

1曲目、XXXXXXXXから会場は一気にヒートアップ。いたるところにモッシュピットが出来上がり、ペットボトルが宙を舞う…………………

 

以上。

僕個人の感想やライブ解説なんかどうでもいいでしょう。

 

それを感じるのがライブの醍醐味であり。行った人だけが覚えているもの。

覚えている人は一生覚えているし、忘れる人は忘れる。そういうもの。

 

■MCは完璧でなくていい

個人的に記憶に残しておきたいことだけをここに書き記しておこうと思います。

書くという行為は記憶が強化されるらしいからです。

 

本人たちもネタとして言ってましたが、難波くんと健ちゃんのMCは噛み合わないので有名ですが、今回は結構噛み合ってました。

そしてツネちゃんが実に良かった。2人だけでは言い尽くせない別の部分を彼なりの素朴な語りで見事に補ってくれていた。

 

MCは上手でなくていい、口下手くらいがいい

 

饒舌でなくても、伝える想いがあるのならそれは必ず伝わる。3人それぞれの気持ちの入ったMCから十分すぎるほど伝わってきました。

 

なぜバンドというものがこうも光を放つのか。

それぞれが足りない部分を補いあっているからなのかもしれません。

 

ツネちゃんの

「これからもオレたちをよろしく」

涙が出そうになりました。

「生きててよかった」

そこはさすがに涙が出ました。ここは泣いていいよね。

 

こちらこそよろしく。この気持ちは多分忘れちゃいけないやつです。

 

■これぞマサに神対応

もうひとつ忘れられないのが難波くんの神対応

 

ライブも中盤戦にさしかかり、観客もヒートアップしてきました。お酒も入っているせいなのか、暴れて周りに危害を加える輩が出始めました。

二階席から見ていても「あいつ、明らかにアブねー奴だな」とわかるほどです。

パンク・ラウドロック系のライブでは日常茶飯事のことです。案の定、セキュリティの人と喧嘩を始めました。セキュリティーの人も同じ人間。彼らもヒートアップしているのです。

 

「おいおいおい、やめて、やめて、やめて」

難波くんがマイク越しに制止しました。

そのあとどうするか見守っていたのですが、その手が付けられなくなってしまった男にステージに上がってくるように言いました。

 

難波くんは彼とハグをし、彼の名前を聞き、「○○だ、よろしくな」とみんなに紹介しました。

「お前、喧嘩すんなよ」と軽くなだめると、彼はおとなしくなり、ステージの横にちょこんと座って観始めました。

 

猛獣をてなづけるかのような慣れた手つき。

不良学校の体育教師でも苦労しそうな大男をあっさりと鎮めたのです。

 

インターネット上でよくみる晒し行為とは全く逆の行為。

彼の欲求をある程度満たし、エネルギーを分散させる。本当に見事でした。

 

そのあとMCでセキュリティーへのフォローと配慮も忘れない。

「セキュリティーがいてこそ、オレたちのライブができる。ありがとう。」

完璧な対応にしびれました。

 

「お前は出て行け。金は返すから、二度と俺たちのライブに来るな!」

とやるのがロック的やり方です。それが許される立場でもあるし、それはそれでかっこいい。実際そういうシーンを何度か見てきました。それが普通の対応です。

 

あえてそれをせずに、男の興奮を鎮めるための最良の選択を瞬時にできる。

まさに百戦錬磨、彼がステージ上で観客と向き合ってきた時間の積み重ねがそうさせたのでしょう。

個人的に一番感銘を受けたのはこのシーンです。

 

「歳をとっておばさんっぽくなってきたよ」なんて言っておちゃらけてましたが、

難波くん、漢の中の漢でしたよ。

 

パンクとは何なのか、心に刻みました。

 

そしてハイスタがなぜここまで熱烈に支持されているのか、それがわかった気がします。

支持されているのは音楽だけじゃなく彼らの人柄でしょうね。

 

■単独公演ゆえのフルセットリスト

僕にとって今回のライブは行けなかった99年のMaking The Roadのツアーも兼ねてます。あのアルバムからの曲を多めにやってほしいなという密かな願望がありましたが、8曲くらいやってくれました。初めて聞くMaking The Roadの収録曲、まさに感無量でした。

 

トータルで2時間くらいやってくれました。ハイスタ三昧の濃密な2時間でした。

フェスだったらトリだとしても、2時間はやれない。物足りなさが残るのですが、今回そういうのはなかったですね。お腹いっぱいでした。

 

演奏時間が多くなればなるほど、聞きたい曲を聴ける確率が上がる。やっぱりライブは単独公演に限る。

フェスでありがちなそれぞれのバンドのファン同士の醜いいざこざもないし、終始平和な空気に包まれていました。単独公演最高。

 

予想してた以上に最新作からの曲が多かったです。今を生きているバンドっていう証です。Lonely, Kiss Me Again, New Lifeなど1stの名曲はもう聞けないのかもしれないですね。

いいライブだったのでDVD化してほしいなあ。

ツアー全部のライブをそれぞれDVD化商法、ハイスタもやればいいじゃないですか。

 

■音響問題・湿気対策・グッズ販売等会場の問題

音響はどうしようもないにしても、湿気対策はしてほしかった。終わったあと水もこぼしてないのに、二階席の床がかなりウェットでした。あの暑さなら冷房つけてほしかった。それくらい高温多湿で息苦しかった。

 

あと照明を落とした時に真っ暗なので、途中トイレに行くのに苦労しました。人とぶつかりそうになるほど暗い。足元を照らすだけでもいいので小さい光が欲しいです。

 

今回のツアーグッズ販売はネット通販のみだったみたいです。

確かに混雑を誘発するし、買い占め、転売問題もある。退屈な時代になってしまったなあと思います。

物販ブースそのものがないのは祭りに行っても屋台が全くないのと同じで、凄く寂しい気持ちになります。ライブで汗流して、勢いでTシャツ買って着替えて帰るのも1つの文化。もう体験できないのかと思うと少しだけ残念です。

 

■ハイスタは究極のアンチエイジング

2000年の活動休止以降、そんなに熱心に聞き続けてきたわけじゃないけど、紆余曲折あって今のハイスタがあることは知っています。

それぞれのソロ活動や仕事、家庭があっての今のハイスタンダード。

単純に音楽を演奏するだけではなく、彼らの生きてきた人生そのものをぶつけられた。そんな気がしています。

 

確かに20年という時間は確実に経過していますが、2018年12月18日に見たハイスタは、1998年の8月22日に豊洲で見たハイスタと何も変わっていなかった気がする。あの頃の少年のままだった。

 

90年代の曲を聴くたびにあの頃の友人とか、ハイスタのCDを買った店とか、よく聞いていたバンドとかいろんなことを思い出した。僕も少しだけ若い頃に戻れたような気がした。

そんな感傷的な気持ちになることを許される、エモすぎる夜でした。

 

「次またいつになるかわからない。約束もできないけど、また会おうな」

 

そういうさりげないさよならが僕は好きです。