「このゲームに10点をつけないあいつはクソ」
どこで見たのか、どのゲームに対してだったのかは忘れたが、そんな意見をネット上で発見した。
この人の主張によれば、
「このゲームは10点満点が相応しく、9点はありえない」
そんなやつのレビューは聞きたくない。というのだ。
しかも9点をつけたことにより、攻撃対象としてロックオンしたらしい・・・
9点でも十分な高評価だが、それすら認めない世界に暮らして楽しいのだろうか?
そういうのを書き込むのは一部の過激な人たちだけだと分かっているが、正直怖い。多様性が叫ばれて久しいが、この手の人々は決して少なくない。
過激な人々が暴走した結果どうなったか。
Youtubeは忖度ばかりになってしまった。
「個人的には」という前置きをしないと物が言えない空間になってしまった。
個人の意見を発表する場なのに、なぜ個人的にはという前置きが必要なのか。
「このゲームは面白くなかった」なんてうっかり言ってしまうと、そのゲームが面白かったと感じた人々から袋叩きに合う。「面白くないと思う側の意見を聞いてみようじゃないか」という人の割合は相当低い。
そんな世界でオレ的「ゲームベスト10」を発表しても、
「ウィッチャー3が入っていない!はい、やり直し」
「エルデンリングをプレイしてない時点で話にならん」
みたいな書き込みがつく。
いやいや、オレ的ゲームベスト10って言ってるだろ。
その人のゲームベスト10にやり直しも何もないだろう・・・
議論をするのが苦手な日本人に自由な言論空間を与えて20年。
恐ろしく歪な空間が出来上がってしまった。
冷静に考えればわかるが、この世には自分以外の人しか存在しない。
その人たちが自分と同じ考えということはまずありえない。
俺の考え、俺のやり方以外を認めない人にとって、この世界が住みにくいのは当たり前。
他人の価値観を「一切」認めないということは、この世の当たり前を否定する暴挙だからだ。その人たちにとって、この世界は地獄でしかない。
ブログは相手に「読解力がある」という前提があるのでまだまともだが、Youtubeは強くて、刺さる、気持ちいい言葉を、なるべく早くアップした人間が勝つ世界だ。深くて、わかりにくいコンテンツは必然的に埋もれていく。その結果、とにかくわかりやすいが浅いコンテンツが量産されることになる。
それを浴び続けた人間がどうなるか。
自分にとって気持ちのいい「絶賛」のみを摂取し続けた人々がどうなるか。
「考える力」は身につかず、10点以外を認めない人間が出来上がる。
アメリカの任天堂公式Youtubeチャンネルはコメント欄があるが、日本の任天堂公式Youtubeチャンネルではコメント欄は閉鎖されている。
最近、脅迫によるイベントの中止もあったし、開放されることは永遠にないだろう。
アメリカ人がまともで、日本人は異常というわけではないが、少なくとも日本の任天堂はコメント欄を開放するメリットよりもデメリットを重く見ているということ。
「ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム完成しました!」という青沼さんの動画に、「うぽつ」というコメントはいらないのだ。
それは作品への冒涜以外の何物でもないだろう。あくまでも個人的な意見だが・・・
僕はAmazonの低評価レビューを読むのが好きだ。辛辣な意見が多いが、そんなに腹も立たない。自分には絶対にない視点がそこにはあるからだ。誹謗中傷や個人攻撃はアウトだが、建設的な批判には価値があると思っている。
ゼルダの伝説の主人公リンクのことを「半裸の男」と表現している人がいて笑った。
この人にとっては、リンクはリンクですらなく、ただの半裸の男にしか見えていないのだ。
この人はゼルダが嫌いなようだが、少し話を聞いてみたいと思った。
もう少し進めたら、上半身を覆う服が手に入るから、がんばってほしい。
もちろん自分の好きなゲームを批判されるのは気持ちの良いものではない。しかしそれは他人の意見であってゲームの評価ではない。
ゲームの評価というのは基本的に自分にしか軸がなく、自分が楽しければそれでいいし、本人が楽しくなければどう転んでも楽しくはならない。そういうものだ。
映画も音楽も小説も漫画も美術も全部そう。おそらく異性の好みもそうだろう。
自分が感じたことが全てで、それがあなたにとっての正解だ。
前置きが長くなりましたが、
ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダムよりも、
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの方が、
「僕の中では」面白かったと発言してもいいですか?
ここまでしないと本当に言いたいことを言えない世界なのだ。ポイズン。
多分これでも激怒する人がいると思う・・・
僕の中で面白かった理由はまたいつか別の機会に。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
パッケージ版を買うならDLC付きのこれがオススメ
ゲームを離れて音楽だけを聴くと、いかにこのゲームの音楽が偉大か気づく
そろそろティアーズオブザキングダムの設定資料集も出してほしいところ