5人の女の子とそれなりの関係になり、学校や寮では何もない顔をし平静を装う。
そんなクズ男が世界を救う話・・・
それがペルソナ3リロードです。
というのはもちろん冗談で、最高の物語を愛情深く作り直した傑作です。
3日ほどプレイした段階で感じた進化を記事にしてまとめましたが、そこから一ヶ月かけてクリアまでじっくりプレイしてみて、遊びやすくするために徹底的に練られていると確信できました。
P3Pでは「ストレスの巣窟」でしかなかったタルタロスを、あそこまで快適なダンジョンへと昇華させた手腕は見事としか言いようがありません。これこそが、ユーザーフレンドリー。
単調になりがちな一本道のゲームを飽きさせない工夫が随所に見られ、過去作のリメイクという枠を超えて、理想のJRPGの1本と呼んでもいいほどの名作に仕上がっています。
ユーザーの目も肥えてきて、年々リメイクの難しさのハードルが上がってきていますが、ナイスリメイクのお手本とも呼べる素晴らしいリメイク作品です。
ペルソナ好きの方はもちろん、これからペルソナの世界に浸ってみたいと思っている方のデビュー作にも最適な一本です。
人間嫌いな人間ですら、人間と関わるのも悪くないと思わせてくれる秀逸な物語。
人間だけが持つ「人間らしさ」に触れられる名作です。
私の個人的解釈でよろしければぜひ最後までお読みください。
もちろん忖度なしの正直度100%の感想です。
今回はクリア後のレビューなのでネタバレがあります。
ゲームをクリア済みの方のみご覧ください。
感想1 ペルソナ3リロードの5本の柱
1 女の子との会話を楽しむ
2 美しくも哀しい物語を味わう
3 ペルソナの合体と強化を楽しむ
4 戦闘と探索を極める
5 コミュMAXを目指し効率を考える
以上の5つがこのゲームの5本の柱。
最も簡単な難易度「Peaceful」でクリアのみを目指すなら、1と2だけで十分でしょう。
3と4を追加すれば、より深くP3Rの世界に入って行けます。
さらに深みを目指すなら5を加え、難易度も上げてみる。究極の達成感を得られるはずです。
ゲームに使える時間や集中力は人それぞれ違うので、様々な楽しみ方が用意されています。そういう意味でもライトゲーマーからマニアまで幅広くおすすめできます。
それぞれの項目を詳しく見ていきます
1 女の子との会話を楽しむ
クリスマスに5人の女の子からデート相手を選ぶ。現実世界ではまず許されないことがゲームの中では可能になり、「してもいいこと」とみなされる。これこそがゲームの醍醐味でしょう。
また、過ぎ去った遠い青春時代に思いを馳せるのも一興ですが、楽しみ方はそれだけではありません。思わずほっぺが赤くなってしまうような青春トークもありますが、そこにきちんとそれぞれの女の子たちの成長が描かれています。
アイギスが人として覚醒してゆく様は、どんな人間よりも人間味があり、遊ぶ人の心を揺さぶります。これを2006年に描いていたというのだから驚きですね。それから18年経って現代の技術で再び描き直され、またプレイヤーの心を大きく動かす。美しい物語は普遍です。
エリザベスを連れ回すイベントは、声優の沢城みゆきさんの怪演のおかげで良い息抜きになりました。本当にいい声優さんです。雰囲気にピッタリ合った声優さんを選ぶのも、ゲームに没入させる上で重要な要素だと実感した。
2 美しくも哀しい物語を味わう
全体を通した物語の良さはここで語るまでもありません。若者の葛藤と成長を中心に、人として生きる誰もが経験するであろう感情が、あらゆるコミュの会話の中に散りばめてある。それを味わい尽くすだけでもこのゲームを遊ぶ価値があると言えます。
特に好きなのが太陽コミュ。不治の病を抱えた青年が自作の物語に自分の生きた意味と想いを込める。それを主人公に託し消えていきます。P3Pを遊んだ時には存在すら気づかず放置していましたが、今回はきっちり最後まで物語を回収できました。
3 ペルソナの合体と強化を楽しむ
P3Pを遊んだ時は、もうすでにP3Rの発売が決まってたので、クリアを最優先。合体と強化は最小限に抑えましたが、今作ではじっくり向き合いました。
最強クラスのペルソナは簡単には作らせてもらえないので、きっちりやり込むことが必要になってきます。
また合体時に継承するスキルによって、新しいペルソナの使い道も全く変わってきます。正解がなく、プレイヤーの数だけ、育成方法が存在する。実に奥が深く、戦略性があり、モンスター育成モノの魅力を改めて再確認できました。
4 戦闘と探索を極める
このゲームでは、満月時のボス戦以外は、戦闘と探索はしたい時だけすればいいよう設定されています。そのシステムのおかげで物語をガンガン進めたいのに、ダンジョンで足止めを食うということがありません。
キリのいいところで止めようと思っていたが、ダンジョン攻略していたらいつの間にか2時間経っていたというのはRPGではよくある話。それが忙しい現代人にこの手のゲームが敬遠される理由でもある。
行きたい時にタルタロスへ行き、それ以外の時はひたすら学校生活やストーリー進行をエンジョイできる。ゲームのプレイ時間を自分で調整できるので、非常にあそびやすいです。
連れてきた仲間や装備しているペルソナと敵の相性がよければ、コマンドを入力するまでもなく仲間が勝手に瞬殺してくれるケースが頻発。これが本当に気持ちよくて、病みつきになります。爽快感を感じにくいJRPGの戦闘で、これだけの爽快感を感じられるのは、革命的だと思う。
キャラやスキルの演出の時間も多過ぎず、少な過ぎず、ほどよいバランスに調整されています。戦闘を楽しいと感じるために、不要なストレスはすべて排除されている。ここはさすがとしか言いようがありません。
ただ、Peacefulモードでもあれだけ足りないのだから、MP枯渇問題は深刻。MP回復アイテムの入手難易度をもっと下げたらいいと思いますが、そうするとゲーム全体のバランスが崩れるからできないのかな・・・
5 全コミュMAXを目指し効率を考える
今回のプレイでは残念ながら全コミュMAXは達成できませんでした。ある程度システムを理解した頃にはもう手遅れになっていたからです。無念。
例えば、あるコミュは日曜と祝日しか進めることができない。また、他のコミュは水曜と土曜日だけのみ。新しく追加されたリンクエピソードとの兼ね合いもある。
かなり計画的に予定をこなしていかないと、全コミュマックスの偉業は達成できません。それだけに達成感は相当のものだと推測できます。
トロフィー(実績)達成率から見ても、難易度が高いことが伺えますが、挑戦する価値はあります。報酬として、最強ペルソナも解禁されますし。
感想2 タルタロスの改善点と惜しかった点
P3Pの時点では、苦痛でしかなかったタルタロスは、見事に遊びやすく改善されていました。リロード発売直前にP3Pを遊んだからこそ実感できた改善点と惜しかった点をいくつか挙げます。
改善点
1 敵とのエンカウトをダッシュで避けられるようになった
2 階段を発見したあとは、探索後戻って来る必要がない(階段ワープ)
3 オブジェクト破壊のアクション追加で金欲と破壊欲を満たす
4 オートリカバー機能の追加
5 背景などグラフィックの大幅な進化
1 敵とのエンカウントをダッシュで避けられるようになった
発見されたら最後、確実に捕まっていたシャドウから逃走可能になりました。見つからないようにゆっくりやり過ごすこともできるし、ダッシュで中央突破することもできます。
不必要な戦闘は強烈なストレスになるので、この機能が果たした役割は大きい。
2 階段を発見したあとは、探索後戻って来る必要がない
階段ワープと呼んでいるこの機能は本当に便利。先に階段を発見してしまった場合、宝箱を残して先に進む苦渋の決断を強いられますが、この機能のおかげで納得いくまで探索でいます。全てのRPGに実装してほしいチート級のスキル。
モナド探索時も手動で入り口まで戻る必要がないので、戦闘に集中できます。
3 オブジェクト破壊のアクション追加で金欲と破壊欲を満たす
敵に見つからずに宝箱を探すだけだったタルタロスに、破壊という快楽につながる要素が持ち込まれました。アクション要素のないゲームは単調になりがちですが、これがあることでプレイヤーの命令通りにキャラが動くというゲームの根源的楽しみを味わえます。
4 オートリカバー機能の追加
ドラクエでいう「まんたん」機能。
膨大な時間がかかるゲームだからこそ、こういった時短が必須。
5 背景などグラフィックの大幅な進化
狭い、単調、暗い、逃走不可、ネガティブな要素が多かったタルタロスですが、背景にバリエーションが出たことで見違えました。一部、移動が面倒な階層もありましたが、飽きが来ないようデザインされていて、今作では探索を面倒と感じることはなかったですね。
惜しかった点
1 アイテムのソート機能があと少し
2 薄明の欠片要素はなくて良かったかも
3 BGM変更機能がDLC限定へ
1 アイテムのソート機能があと少し
種類別にソートできるのはありがたいが、SP回復アイテムを頭に持ってくる機能があれば完璧でした。HPはオートリカバーで補えるので。
2 薄明の欠片要素はなくて良かったかも
最初は楽しかった薄明の欠片集めも、最終的にはストレス要素になってきました。頑張ってタルタロスを踏破しても、欠片が足りなくて開けられない宝箱が必ず発生します。その小さな回り道が時間を重ねるごとに苛立ちに変化してましたね。
3 BGM変更機能がDLC限定へ
P3Pではデフォルトだった、風花のBGMチョイス機能がなくなったのは寂しい。DLCで追加される仕様だから仕方ないのかな・・・
タルタロスの総評
通常のRPG 個々のダンジョンをクリアした達成感
ペルソナ3リロード 階層を分けて、全てのフロアを踏破する達成感
どちらが正解なのかはわかりませんが、ダンジョンで感じるストレスは徹底的に排除されています。階段を見つけた時点で、探索後はいつでも次の階へ進める機能など、今作のタルタロスで採用されたいくつかのシステムは完成度が高く、見習うべき点は多いように思います。
昔ほどの勢いが感じられないJRPGですが、まだまだ伸びしろや改善点はあるので、今後も遊びやすさや楽しさを追求してほしい。
A クリアまでの時間とやり込み具合
A-1 クリア時間とゲームのボリューム
クリアまで76時間。
モードは最も初心者向けの「Peaceful」
人の話をきちんと聞けば、これくらいの時間はかかります。
A-2 やり込み度
クリア時の主人公レベルは87
ペルソナ登録率は54%
MAX達成コミュは15個
獲得実績(トロフィー)は42/48
A-3 没入度
MAX
タルタロスは時間が溶けます。
物語も序盤は退屈ですが、その分後半に一気に盛り上がります。
B ゲームとしての完成度の評価
B-1 操作性とUI
ペルソナと言えば洗練されたUI(ユーザーインターフェイス)が有名。おしゃれすぎて困るということもなく、機能性もきちんと保証されている。
日常パートのカメラが固定なのはゲームの都合上仕方がないとして、それぞれの施設間の移動はスムーズで特にストレスもなかった。
タルタロスはダッシュまで用意されていて、至れり尽くせり。
バトルの操作性はP3Pと比べると雲泥の差。圧倒的に遊びやすい。
B-2 映像とサウンド
とにかく女性陣が美しい。そしてコロマルがかわいい。
コロマルのボイスを入れた方、犬に命を吹き込む演技で、本当に良い仕事されています。
ボーカル曲も新しい歌い手さんによる新録とのことだが、特に違和感もなく、耳に馴染む綺麗な声でした。
B-3 パフォーマンス
CPUに高い負荷をかけるゲームではないので、概ね安定していました。
バグやカクツキに遭遇することもなく、終始ストレスなしでプレイできました。
GamePassでXbox本体なしの完全ストリーミングのみで遊びましたが、ストリーミングであることを忘れるほど快適に遊べました。時々音が出なくなることがありましたが、許容範囲です。
遅延の影響がほとんどないJRPGとGamePass(ストリーミング)は相性がいいですね。
C 概要とオススメできる人
C-1 やりこみ要素とボリューム
普通に遊べば、70~80時間はかかる大ボリューム。
コミュMAXや全ペルソナ制覇などやり込み要素は無限。
2周目は強くてニューゲーム、難易度もハードのさらに上の「Lunatic」も用意されていて、上級者にも対応。
C-2 オススメできる人
・テキストを読む/ボイスを聞くのが好きな人
・感動の物語を味わいたい人
・学生時代を追体験したい人
・80時間捧げる根気のある人
C-3 ゲームの概要
ペルソナ3 リロード
発売日 2024年2月2日
パッケージ版 9680円
ダウンロード版 9680円
メーカー アトラス
開発 アトラス
プラットフォーム Xbox Game Pass / Xbox Series X|S / Xbox One / Windows / PS5 / PS4 / Steam
ジャンル RPG
対象年齢
CERO:C(15歳以上対象)
必要な容量 30GB(Steam版)
さいごに
唯一の難点はとにかく時間がかかること。
会話を読み込んで、物語やそれぞれの人間の生き様を堪能するゲームなので、きちんとボイスの速度に合わせて会話を聞きながら進めていたら時間が飛びます。
試しに測ってみましたが、美鶴さんのコミュをスキップなしですべて等速でボイス再生した場合、コミュMAXまで40分かかります。
全てのコミュにこれだけの時間が必要ではありませんが、イベント進行による強制ではない「会話のあるコミュ」が合計で19個あるので、全コミュMAXだけで10時間くらいは必要です。
それに加えて、タルタロスの探索やボス戦、ペルソナの合体を考える時間もあるので、時間はどれだけあっても足りません。
イージーモードのさらに下の「Peacefulモード」でもクリアまで70時間はかかると思いますので、それなりの時間を捧げる覚悟が必要です。
ただ、その対価は大きく、クリアした時にはこの長いゲームを時間をかけて遊んで良かったなと素直に感じることができました。
1月のあの独特の切なさはなんと表現すればいいのでしょうか・・・
ボーカル入りのBGMからピアノ主体のBGMに変わった影響もあると思いますが、静かに近づく終末だったり、ゲームそのものが終わりを迎える雰囲気が漂っていて切なくなります。
そして無事に3月を迎えた時の安堵感と寂寥感。
考察の余地を与え、余韻を残しながらも、多くの感情を伝えることに成功している美しいエンディング。見事でした。
発売が2月の頭。かかる時間と遊べる時間を考えれば、多くの人は一ヶ月後の3月の頭にクリアを迎えるはず。おそらく、そこまで想定されているであろう発売日の設定にも唸らされました。
しかもクリアを迎える前日あたりに追加DLC(エキスパンションパス)の発表があり、2024年の9月には追加ストーリーが待っているという最高の状態でエンディングを迎えました。
私はゲームパスで遊びましたが、追加DLCもゲームパスでプレイ可能とのこと。
完全版商法を指摘されることの多いアトラスですが、きちんと抜け道も用意してくれている。本当にありがたいことです。
P3P→P3Rとここ数ヶ月で2周遊びましたが、いいゲームだなという感想です。というかリロードの完成度が高過ぎて、もうP3Pを起動することはなさそうです。
ペルソナ3をクリアしたことで、積んでいる「P3G」や「P5無印」を思う存分遊べるので、またペルソナの世界に浸りたくなったらプレイする予定です。
メタファーリファンタジオも楽しみですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。