完成度はめちゃくちゃ高いが面白さにつながってない
ターン制コマンドバトルの限界を感じた
これがSea of Starsをクリアしての正直な感想です。
職人がこだわりすぎたゆえに引き算ができなかったと分析しました。
もっともストレスを感じたのが戦闘の強制。
戦闘を単調にしたくないので、飽きさせない要素を詰め込んだ。
その結果、単調になってしまった・・・なんとも皮肉なことです。
このバトルシステムは、1時間遊ぶだけなら楽しいですが、10時間以上遊ぶとしんどくなってきます。創り手側のゲーム愛が強すぎて、「時々は楽をさせてね」という遊び手の本音が見えてなかったのかもしれません。
ストレスを感じるところが、他の全ての良さを打ち消していて残念です。
プレイ時間の半分は戦闘だからね・・・
いつもどおり忖度なしの正直度100%の感想です。
私の個人的解釈でよろしければぜひ最後までお読みください。
時間のない方はAの個人的な感想のみをご覧ください。
目次から飛べます。
A 個人的な感想
1 クリアまでの時間とやり込み具合
クリア時間とゲームのボリューム
クリアまで約28時間
やり込み度
ラスボス討伐時のレベルは19でした。
クリア後のやり込み要素は手付かず。
PS4トロフィーの取得数は23で取得率は45%でした
ちなみにラスボス討伐率は9月22日の時点で8.3%でかなり低めの数字。
サブスクで遊んでいる人がほとんどだから、こうなるのは仕方ないのかもしれません。
没入度 中
途中から全てが作業化してしまい、ストーリーにも入り込めなかった
要所要所で泣ける場所はあったので、悪いストーリーではないと思う。
2 ストレスポイント
どんなゲームにも必ず不満点はあります
個人的にストレスを感じた点を挙げます
・バトルのテンポが悪い
シンボルエンカウントですが、戦闘回避は難しくほぼ強制。バトルに入ってからも逃げることはできず、一つのバトルに必ず数分費やすことになります。
アクション要素があるために、演出をスキップすることができない。
その結果バトルが長引き、テンポが悪くなっています。
強魔法や即死呪文などで爽快感を感じることがないので、プレイ時間が増えるとバトルが苦痛になってきます。
雑魚敵を蹴散らす爽快感がJRPGにとってどれだけ重要だったか思い知らされました。
・謎解きとアスレチック要素の押し付け
フィールドでの移動に謎解きが多く、ジャンプはどのダンジョンもほぼ必須で、フックショットや風でオブジェクトを押すギミックも、使いすぎ感が否めない。
最初はいいのですが、最終的には面倒くささが勝ってしまう。
そういうのはほどほどでいい、毎回毎回だと疲れます。
「普通にフィールドを歩かせてくれ!」
それだけで我々はじゅうぶん楽しいんだ。
物語が盛り上がってきて先を早く見たいのに、なぜそこにフィールドアクションを入れる?おまけに回避不可能の戦闘つきのコンボだ。
この辺りのさじ加減は本当に難しく、製作者側がゲーム好きでユーザーを楽しませたいからこそ、こうなってしまうんだと思いますね。
・ローカライズに難あり(語尾大事)
海外産のゲームだから仕方ないのですが、少し微妙なテキストがあった。和ゲーメインで遊んでいるので、日本人が日本語で作ったテキストに慣れすぎていて、違和感は拭えなかったです。
ひと昔前のギャルが多用していた言い回し「~だし」という語尾。これを主人公の女性に喋らせてはいけないよ。そういうニュアンスがどうしても出てしまう。「なら、」の多用も気になった。もっといい接続詞あるでしょう。
日本語が得意な英語ネイティブが作ったテキスト。
英語が得意な日本語ネイティブが作ったテキスト。
日本人受けするのは後者だと思う。
この手の翻訳には国語のセンスが問われるので、日本の翻訳家を雇った方がいいのかもしれません。日本語って思った以上に繊細なんです。テキストメインのJRPGスタイルなら、評価に直結する要素なのでなおさら。
悪いわけではなく「気になった」というレベル。むしろ海外ゲームではいい方だと思う。月属性を持つキャラのメイン武器Moonrangをムーメラン(ムーン+ブーメラン)と訳すセンスは絶妙でした。
・馴染みのない言葉
至点の戦士・フレッシュマンサー・苦悶に棲まう者などキャッチーでない(難解で馴染みのない)言葉が多く、「それって何よ?」と思う瞬間が多々あった。
・レベルアップの恩恵を感じない
出てくる敵を倒せば進める難易度に調整されているために、いわゆるレベル上げが必要ありません。これは長所でもあるのですが、レベルを上げて強くなる喜びもない。
必要な経験値が必要な場所に配置されているだけなので、どうしても退屈さを感じてしまう。
・フィールド音楽のゴリ押し?
音楽を聴いてもらうための配慮なのか、フィールドの音楽からバトル音楽に移行しない場所が多々あった。バトルの音楽が良いのでもったいなく感じた。
・終盤までファストトラベルがない
イベントの途中で移動を繰り返す場面があるのですが、行く場所を間違えてしまって、フィールド移動をやり直す羽目になった。ゲームの性質上、全てのフィールドがダンジョン形式になっているので、時間を浪費した。
ファストトラベルが解放される終盤も便利とは言えない。ワープ地点までの移動が面倒。
ワープ地点はあっていい、だけどワープ地点までの移動はいらないのです。
これがユーザーの正直な気持ち。
3 快楽ポイント
どんなゲームも快楽がないと続けられません。
個人的快楽ポイントを紹介します
・画面の演出と音が効果音が気持ちいい
攻撃に合わせてボタンを押すことで、ジャストガードや追撃などが発生するが、とにかくその瞬間が気持ちいい。ゲームにハマる快感をよく理解して作っている。
・テンションの上がる戦闘曲
ゲームの中で何度も聞くことになる戦闘曲が本当に良い。記憶に残って口ずさめるレベルで気に入っています。ドラクエでもFFでもクロノトリガーでもないが、あの時代の空気のようなものが伝わってくる。ボス戦の曲も高揚感があって素晴らしい。
・ムーメランが気持ちいい
タイミングよくボタンを押すことで連続攻撃に発展するブーメラン(ムーメラン)。病みつきになる面白さがある。
・敵キャラがかわいい
RPGが好きになれるかどうかは、敵キャラの存在が大きい。
このゲームはそれを満たしている。
グルグルという敵がいるが、グール(ゾンビ)から来ているのね。グルグルした動きをするからだと思ったよ。
・音楽への愛
訪れる街の宿屋兼酒場的な場所で、海賊のメンバーたちが音楽を演奏してくれるのだが、これが実に素晴らしい。このゲームのBGMを少人数バンド演奏風にアレンジしたもので、ずっと聞いていられる心地よさがある。
ステージで演奏しているキャラに話しかけると、会話に応じている間はその楽器の音が消える。細かすぎる・・・
楽曲集は今後Spotify等でも聞けるようになるみたいなので楽しみだ。
スイッチのみパッケージ版が予定されていて、特典としてCDがついてくる。
CD目当てで買うのもありだと思う。
・小さな笑いとコミカルな演出
体験版でも遊べたシーン。最初に船を入手する際の海賊とのやりとりは笑えた。90年代のJRPGが持っている空気を完璧に再現している。ムービーなくても気持ちは伝わる。
・装備のシンプルさ
装備による育成要素が極限まで削ぎ落とされていて好感を持った。
ダンジョンに落ちている装備や近くの商人から買える装備がその時点での最強装備。金策や強化石集めも必要ない。
人によっては短所になるのかもしれませんが、武器を何にするかであまり悩みたくないので、この設定はありがたかった。
・ガールのポジティブさ
シリアス気味の主人公2人に対して、ガールの楽観的なキャラクターに救われる場面が多い。ありがちなお調子者キャラでもなく、ただひたすらにポジティブ。人々に愛されるキャラを研究し尽くして、彼のキャラクターを作ったのでしょう。
ガールという名のボーイ。
そして「お料理戦士」というパワーワード。
このゲームに触れた人の間で永遠に語り継がれることでしょう。
彼のふるまいから学べることは多い。
B ゲームの大まかな紹介
1 ゲームのストーリーと特長
『Sea of Stars』は、太陽と月の力が融合した「蝕の魔法」を操る「至点の子」と呼ばれる2人の物語を描いていく。その魔法は、邪悪な錬金術師「フレッシュマンサー」が生み出す恐ろしい怪物に対抗できる唯一の力である。
<ゲームの特長>
◆クラシカルなターン制の戦闘
タイミングに合わせてボタンを入力する強ヒットと防御、コンボ技、威力強化、ダメージ系統と魔法の相性など、ひとつひとつの戦いに楽しみが生まれる戦闘システム。
◆のびのびとした旅
泳ぐ、登る、ジャンプする、飛び降りる、持ち上げるなど、スムーズに世界を冒険できる。
◆心に刻まれる濃密な冒険物語
それぞれのキャラクターやエピソードがあなたの心を惹きつける。
◆あなたが触れられる世界
気分転換がしたい? 航海、料理、釣り、ボードゲームなどさまざまなミニゲームを楽しんでみよう。
※メーカーによる説明です。
2 キャラクターの魅力
ガールという名前のポジティブな「男の子」スペルはGARL。
序盤は彼が物語を引っ張っていく。
30時間遊んでも2人の主人公の名前が覚えられない。
それはガール(男)が強烈すぎるから。
そんな不思議なゲームです。
3 主要作品の簡単な紹介
Sabotage Studioというカナダのインディースタジオが制作。
The Messengerという作品のヒットで名を上げる。
クロノ・トリガーやマリオRPGのようなが90年代のRPGの最高傑作を目指してつくられた作品。
E 最後に
このゲームを遊ぶために1ヶ月のみサブスクに課金、PS Plus Extra(プレステのサブスク)で遊びましたが、この1本だけで十分元は取れたと感じる良質な作品でした。
似ているゲーム性ということで、スーパーマリオRPGの予習を兼ねてましたが、コマンドRPGの限界を感じて少し不安になりました。
最近、自分の嗜好がアクションゲーム寄りになってきていて、時間がかかるコマンドバトルに退屈さを感じてしまいます。コマンドバトルは「待ちの時間」が多いですからね。
決してプレイスキルは高くないのですが、自分の腕前を上げればズル(無双)ができる「アクションゲーム」が、残り時間を考えながら生きている身には助かるのです。
レベルを上げてズルをする
スキルを上げてズルをする
そのどちらも封印されていたのが、このゲームに感じた窮屈さの正体なのかもしれません。ただひたすら真正面から敵に向き合うしかないのはツラい。
「古き良きJRPGへのオマージュ」という括りを超えた傑作であることは間違いありません。作り込まれた美麗なドット絵、テンションの上がる楽曲、この2つのためだけにこのゲームを遊ぶ価値はあるほどの仕上がりです。
音楽、映像、システムが悪いのなら改善の余地はないのですが、このゲームに関してはそこは完璧。ほんの少しのバランス調整でびっくりするほど楽しく遊べるようになると思うので、今後のアップデートに期待します。
コマンド「逃げる」の追加だけで化けると思います。
お金のためだけにゲームを作っているわけじゃない。
この作品がそんなクリエイター集団たちの信念によって生み出されたことは十分伝わりました。前作、The Messengerも遊んでみます。
クラウドファンディングの支援者を全て紹介する都合上、エンディングはびっくりするほど長いです。早送りできることを知ったのは最後の方でした。
スイッチ、PSともに体験版が無料で遊べるので、ぜひご自身で遊んでみてほしい。
戦闘の音楽が本当にかっこいいですから。
最後まで読んでいただきありがとうございました。