発売日が2019年9月20日。
ブレスオブザワイルドの次に発売されたゼルダということで、相当のプレッシャーがあったはずですが、2Dゼルダの新しい形を提示した良作に仕上がっています。
昔からあるいわゆる1本道のゼルダですが、ほどよい難易度に調整されていて、ブレワイからゼルダに入った人も満足できる内容。2Dゼルダの面白さを再発見できます。
2023年の正月セールで買ってずっと積んでいましたが、ようやくクリアしたのでレビューします。
もちろん忖度なしの正直度100%のレビュー。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
A 個人的な感想
1 クリアまでの時間とやり込み具合
クリア時間とゲームのボリューム
クリアまで25時間
少しだけやり込み要素を遊んでこの時間。
純粋にクリアだけを目指せばおそらく20時間ほどになる。
やり込み度
ハートのかけら 30/32
ヒミツの貝がら 49/50
パネルダンジョンは、ほぼ手付かずです。
没入度 MAX
3Dゼルダほどの集中力を必要としないが、ダラダラ遊べるわけでもない。
謎解きも頭を使うので脳に負担はかかります。
2 ストレスポイント
どんなゲームにも必ず不満点はあります
個人的にストレスを感じた点を挙げます
・歩くのが遅い
動きを速くすると敵の速度も上げなければいけない。そうすると戦闘の難易度も引き上げられてしまう。それはわかるのですが、1.2倍くらいのスピードで歩きたかった。
・移動の制限が多い
2Dゼルダの宿命ですが、壁や川などの障害物が多くて、目的地に移動するのに回り道をしなければいけないことが多い。わかっちゃいたけど、めんどくさい。
自由度MAXのブレワイから入った人は、ストレスを感じやすい要素なのでここは注意。
・キーコンフィグほしい
2Dゼルダではデフォルトですが、剣がBボタン固定というのはやりづらさを感じた。
キーコンフィグがあれば非常に助かります。
・ジャンプが面倒
2Dゼルダには元々ジャンプして敵をかわすという概念がなかった。
それもあってアイテムでジャンプが解放されますが、XかYのどちらかに割り当てが必要。これが案外大変なのです。
もともとAとBしかボタンのないゲームボーイに比べれば圧倒的に便利になっていますが、使用頻度の高いジャンプは固定のボタンでもよかったのでは?
操作を複雑にしたくないための苦肉の策だとはわかっていますが・・・
・オカリナの存在感の薄さ
ワープ機能や謎解きで使うオカリナですが、入手が任意になっていてスルーしがち。このゲームにはワープがなくて不便だなと思っていたら、実はオカリナを持っていませんでした。ダンジョンからの脱出にも使えるので、入手可能になったら即ゲットすべき。
・マリンがいない
マリンに話しかけるイベントがあるのですが、そんな時に限ってなかなか見つからない。
歩き回るには広すぎるし、ワープ機能も親切ではない。
せめてマップにマリンの表示があれば・・・
・マップの拡大ができない
通常マップは拡大できますが、「ハートのかけら」や「ヒミツの貝がら」などのマップは拡大できないので不便。
・パネルダンジョンが面倒
「面白そう」が「面白い」まで昇華できていない印象。
ストレスになる要素が多すぎて、楽しめなかった。
ゼルダには鬼畜ダンジョンを求める猛者が多いので、このミニゲームをもっと遊びやすくして単独作品として出すのもアリだと思う。
3 快楽ポイント
どんなゲームも快楽がないと続けられません。
個人的快楽ポイントを紹介します
・世界観が独特で可愛い
ジオラマ風の特徴的な世界。これがこのゲーム最大の魅力でしょう。キャラが可愛いだけでこのゲームを好きになれる。
・温かみのある楽曲
元はゲームボーイのピコピコサウンドだったものが、この美しい世界にぴったりの楽曲にアレンジされています。「リッチだけど控えめ」そんな表現になるのでしょうか。名曲「タルタル山脈」もテンションが上がる楽曲に仕上がっています。
壮大すぎるオーケストラサウンドだと違和感がありますが、これくらいのアレンジがこの世界にはちょうどいい。
・アイテム選択画面が洗練されている
快適にプレイできた最大の理由がこれ。アイテム切り替え時のストレスが少ないのはゼルダをやる上での必須条件。かっこよさと可愛さの絶妙なバランスが心地よい。
・ちょうどいいミニゲームの難易度
ゼルダでは、ムジュラ・時オカの「馬レース」、ブレワイの「流鏑馬」など極限の集中力を求められる難易度が多いですが、夢をみる島には理不尽な難易度のミニゲームはありません。「急流すべり」も「つりぼり」も「クレーンゲーム」も少しコツをつかめば報酬ゲットできます。
「急流すべり」のタイムアタック35秒は鬼門ですが、これもなんとかなる難易度です。
・濃いキャラ
ヒロイン役のマリンはもちろん、父親のタリン、墓守のダンペイさんなど印象的なキャラが多い。
マリオでおなじみのクリボーやゲッソーやワンワン、まさかのカービィまで登場。この異世界ならではの彩りが心地よい。
・フックショットが快適
3Dのフックショットは照準合わせが超絶面倒ですが、2D版は楽でストレスがない。2D時代に生まれたフックショットは2Dでこそ輝く。
・水辺が美しい
浜辺もそうですが、所々に存在する川の水が本当に綺麗。
美しい水辺を泳いでいるだけで癒される。
・釣りが楽しい
どのゲームにもミニゲームとして釣りがついていますが、奥の深さを感じる完成度の高さ。魚好きの人が作ったに違いない。
・90年代の空気が心地よい
クレーンゲームを「今はやりのゲーム」と表現しているあたり、当時UFOキャッチャー全盛期だったことを思い出させる。
B ゲームの大まかな紹介
1 ゲームのストーリーと特徴
一度入ると出られないといわれる「コホリント島」に流れ着いたリンク。
島で暮らす個性豊かな住民たちとの交流や、フィールド・ダンジョンの冒険を通じて、この不思議な島の謎を解き明かし、島からの脱出を目指します。
※メーカーによる説明
ダンジョンでアイテムを獲得し、そのアイテムを使ってナゾを解く。
初代ゼルダから続くそのシステムを踏襲した、見下ろし視点の2Dアクションアドベンチャー。
2 キャラクターの魅力
ボイスもない、ムービーもない作品では、見た目とテキストで魅力を伝えるしかないが、今作ではそれに成功している。人は見た目が9割というが、このゲームではその見た目だけで世界の魅力が伝わる。
3 主要作品の簡単な紹介
1986年の初代ゼルダの伝説
1991年の神々のトライフォース
これらに続く見下ろし型2Dゼルダの3作品目として1993年にゲームボーイでリリース。
(1987年のリンクの冒険は横スクロールアクションなので除外)
現在は3Dゼルダに開発の重きが置かれているので2Dゼルダは軽視されがちだが、根強いファンがいるのも事実。2Dゼルダには3D酔いが存在しないという圧倒的な長所がある。
C ゲームとしての完成度の評価
1 操作性とUI
2Dゼルダの理想ともいうべき洗練されたユーザーインターフェース。
可愛さとシンプルさのバランスが素晴らしい。
アイテム画面への入りも、余計な演出がカットされていて機能性重視。
プレイ中に何度も開く画面だけに、無駄な時間がないのはありがたい。
2 映像とサウンド
ジオラマの世界と引き算を心得た楽曲。そのどちらが欠けても違和感がある。このゲームの面白さを引き出す理想の映像と音の組み合わせ。
ゼルダの楽曲といえばレジェンドの近藤浩治さんが作曲されていることがほとんどだが、この作品では濱野美奈子さんと石川こずえさんというお二方が作曲されている。
任天堂の社員という肩書きの中で、きっちりと名曲を仕上げ、ゼルダの世界観に馴染ませてくる手腕に畏怖の念を覚えます。
3 パフォーマンス
ダンジョンに入った時にロードを挟むが、全く気にならない長さ。
負荷がかかった時に時々カクつくが、ストレスというほどのものではない。ワープ時も無駄な演出がなくてスムーズ。
D 概要とオススメできる人
1 やりこみ要素とボリューム
ハートのかけら集めやヒミツの貝がら集めをコンプしようと思えば30時間は遊べる。
自由にダンジョンを作れるパネルダンジョンという遊びも用意されている。
ブレワイのマスターモードにあたる「辛口モード」もあって、難易度が物足りない人も満足できるボリューム。
個人的には、1本のソフトを飽きずに遊ぶのには30時間くらいがちょうどいい。
この密度で30時間は理想のボリューム。
2 オススメできる人
・可愛い世界観が好き
・2Dゼルダを遊んでみたい
・難しすぎないゼルダを遊びたい
・3D酔いでブレワイを挫折した
・ボリュームを求めていない
3 ゲームの概要
発売日 2019年9月20日
パッケージ版 表記なし
ダウンロード版 6578円
ニンテンドーカタログチケット引き換え対象(実質5000円)
※My Nintendo Storeではダウンロード版しか購入できないことから、パッケージ版が生産終了したことがうかがえる。
メーカー 任天堂
開発 グレッゾ
プラットフォーム Nintendo Switch
ジャンル アクションアドベンチャー
対象年齢
CERO:A(全年齢対象)
必要な容量 5.9GB
E 最後に
オリジナル版は1993年6月発売、ベースは今から30年前の作品です。
もちろんそちらも遊んでみましたが、完成度は非常に高いです。
ゲームボーイで発売された当時は、神トラのグラフィックが良かっただけに、ファミコンより低解像度の白黒画面でゼルダをやることに抵抗があってプレイしなかったが、リメイクによって理想的なグラフィックになって帰ってきた。
個人的には2Dゼルダの最高傑作は「神々のトライフォース」だが、映像の進化や遊びやすさではこちらも負けてはいない。このクオリティで神々のトライフォースをリメイクしてほしいし、2Dゼルダの完全新作も一定の需要はあると思う。
ブレワイの後に出ただけあって、「ブレワイと比較して面白くない」という意見があるが、それはナンセンスすぎる。
超大作をやった後にさらに100時間かかるゲームを遊びたいか?
全てのゲームにブレワイのボリュームを求める意味は?
程よいボリュームで、程よい難易度のゲームとの棲み分けも必要。
夢をみる島にはブレワイにはない別の遊びがあるのです。
7000円で100時間遊べるブレワイ、7000円で200時間遊べるティアキンのボリュームが異常であり、それを判断基準にしてはいけない。個人的には5000円で30時間遊べれば十分だと思います。
ちなみに初週売上14万本(ファミ通調べ)を記録している本作ですが、実はSwitch Liteと同時発売だったんですね。携帯機との相性は抜群だと感じたので妙に納得してしまいました。
このレベルの映像表現で初代ゼルダや神トラをリメイクするのは全然ありだと思う。とくに今年はファミコン40周年で盛り上がっているので、ファミコンソフトをリメイクするのには最適ではないでしょうか。
マリオフィーバーが落ち着いた頃に、初代ゼルダのリメイクを発表すると盛り上がると思いますよ。
時オカ、ムジュラ、夢をみる島と過去作のリメイクには定評のあるグレッゾが、次にどのゼルダをリメイクしてくれるのか楽しみ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。