2022年2月25日にスイッチオンラインに追加された64版ムジュラの仮面。
やろうやろうと思いながら、ずっと先延ばしにしていたのですが、ついにクリアまで遊びました。
「23年前のゼルダをクリアするのはこんなにツラいのか」
というのが正直な感想です。
発売されたのは2000年4月。その当時ニンテンドー64でプレイし、クリアした方々に心の底からの敬意を表したくなる。とてつもない難しさでした。
私はスイッチオンラインで遊びましたが、どこでもセーブ機能がついているおかげで最後まで辿り着けました。普通の状態(通常のセーブ)で遊んでいたら決してクリアまで遊ぶことはなかったでしょう。
ただ、非常に濃厚な体験ができるゲームなので熱狂的なファンが多いのも納得です。
ブレスオブザワイルドやティアーズオブザキングダムが、この頃のゼルダと比べていかに遊びやすくなっているか、楽しく遊ぶことを追求しているか。時代とともにゲームがどれだけ進化しているか。そんなことを考えながらずっとプレーしていました。
ムジュラが好きな方、挫折して途中で投げてしまった方、ブレワイ&ティアキンをクリアして「次のゼルダ」を探している方、最後まで見てもらえると嬉しいです。
忖度等は一切なく100%個人の主観による感想です。
A 個人的な感想
1 クリアまでの時間とやり込み具合
クリア時間とゲームのボリューム
クリアまで33.5時間
地方の謎解き→ダンジョンの謎解き→ラスボス戦 これを4回
最後にラスボス戦(かくれんぼはなし)
これだけでこの時間。
やり込もうと思えばあと10時間以上は余裕で遊べる大ボリューム。
全てをやり尽くそうと思えば、難易度が高いのもあって50時間は遊べるはず。
やり込み度
メインストーリーのみ
ハートのかけら集めも5つのみ
仮面はメイン3種とサブが8種ほど
サブクエストはほとんどやっていない
没入度
MAX
高い集中力が必要で、隙間時間に軽い気持ちで遊べるゲームではない。
常に頭を使っているので非常に疲れる。
2 ストレスポイント
どんなゲームにも必ず不満点はあります
個人的にストレスを感じた点を挙げます
2023年に2000年のゲームを遊ぶということは、2023年の最新のスマホに慣れた人間が2000年のガラケーをいじる感覚に近い。不満しかないのが前提ということで読み進めてください。
・カメラワークの悪さ
3Dゲーム黎明期の作品を23年後の現在と比較するのはフェアではありませんが、右スティックで視点操作するのがデフォルトの現在。それができないソフトは遊びづらいとしか感じない。
ZLでリセット(正面を向く)にも限界があって、2体の敵がいる場合はそれぞれにロックオンし続けて、正面を向いてくれなかったりする。
向きたい方向を向けないストレスは、不満に直結する。
スイッチでプレイする場合は、右スティックに別のボタンが割り当てられている。クセでつい右スティックを触ると、いきなりオカリナを構えることが何十回も発生。慣れるまでは強烈なストレスだった。
・操作のテクニックを要求されすぎる
花びらにもぐれない
水中ゾーラジャンプがうまくいかない
助走をつけたゴロンジャンプで何度も谷底に落ちる
仮面で変身したあとのリンクの全ての操作性が悪く、微調整が必要な場面で全く微調整が効かない。
水中から陸地への移動を何度も繰り返すグレートベイでのラスボスのグヨーグ戦。
もぐる、うかぶ、陸地につかまる、その操作がうまくいかず発狂寸前だった。
そして、とにかく矢が的に当たらない。
ここに発射しますよっていうポイントが出ない中、敵を射抜く。難易度が高すぎる。
そして馬の操作性の悪さ・・・
エポナよ、お前はどこに行きたいのだ?
・ダンジョン攻略に時間がかかりすぎる
攻略を見ながらやってもグレートベイの神殿は5時間(はぐれ妖精収集含む)ほどかかった。途中でセーブできない64本体で遊んだ人の忍耐力は本当に尊敬に値する。
ダンジョンをクリアした後はどっと疲れが押し寄せてきます。
・時間制限という足かせ
ダンジョンの攻略に時間がかかった場合は、進行状況が引き継がれないので、全く同じことをやり直さなければいけない。時間経過を遅くするなど救済策はあるが、急かされるのがストレスになる。
時間のことを考え一旦貯金して、セーブして、消費アイテムを集め直してのルーティーン。とにかく時間がかかる仕様になっていて、没入感を削ぐ。
緊張感があるのは素晴らしいが、難易度の高い謎解きと時間制限の相性は悪い。
「どこでもセーブ」できる環境ですらこれだから、攻略サイトもないあの時代にリアルタイムでやっていた人は何度もやり直したはずだ。その不屈の精神に改めて感服する。
・ギミックのゴリ押し
昔のゼルダ全般に言えることだが、新しい道具を手に入れたら謎解きがその道具使用前提ばかりになる。
「このダンジョンはフックショットを使って解きなさいよ」
「氷の矢を使って床を作りなさいよ」
「滝を凍らせたら、次は炎の矢で解凍させなさいよ」
「このマスクをここで使いなさい」
アイテムが増えるたびに切り替えの時間ばかりが増え、謎を解いているというよりもやらされている感が増してくる。
そのやり方しか解法がないため、ズルができない。
開発陣VSプレイヤーの不毛な戦い。
キーアイテム4つを最初に配布し、あとはプレイヤー任せ。「どうぞご自由に」それが最近のゼルダ。自分の頭で考える余地を残しているブレワイ・ティアキン方式がいかに優れているかを思い知らされる。
どんな解き方をされるのか優しく見守ってくれるゼルダ開発陣。
丸くなったなと感じます。
・オカリナの演奏は一度でいい
単純に曲を覚えられない。覚えているもしくはメモしている前提なところが不親切。一度自分で演奏したら、次からはメニュー画面から選択で演奏、もしくは楽譜を見ながらで良いのでは?
演奏している感覚を味わってほしいのは伝わってくるが、それは初回だけでいい。
オカリナの音色は素晴らしいが、それ以上に面倒さが勝る。
ファストトラベルの度に、パスワード入力するイメージ。
昔のゲームだなと痛感する。
・お面の着脱が面倒
お面切り替えは、このゲームのメイン要素なので面倒なのは我慢するとして、変身のあるメイン3種(デクナッツ・ゴロン・ゾーラ)のお面をつけた状態では、サブのお面(大妖精・ギブド・ガロなど)に切り替えられないのが地味にストレスだった。
・アイテムの異常な多さ
フックショット、弓矢3種、バクダンなど、ゼルダでは元々謎解きのためのアイテム切り替えが多いのが特徴だが、それにお面が加わりさらに切り替えが増えた。
そこにオカリナの楽曲が加わり、脳に負荷がかかりすぎる。
ダンジョン攻略もアイテムを切り替えた記憶しかない。
それがゼルダなのだが・・・
・謎解きとバトルの同時進行
謎を解くために箱を押しているのに、敵に襲撃される理不尽さ。
非常にストレスが溜まった。
これも今のゼルダでは解消されていて、ブレワイもティアキンも謎解きオンリーの祠ではほとんど敵は登場しないし、敵を殲滅させる祠では謎解きがない。
技術の進化とは別にゲームデザインとして、プレイヤーにストレスを与える要素は徹底的に改善されている。過去作あっての今のゼルダ。それを痛感する。
3 快楽ポイント
どんなゲームも快楽がないと続けられません。
個人的快楽ポイントを紹介します
・長くて険しいダンジョンをクリアした時の達成感
4つしかダンジョンがないので、難易度が非常に高い。
その分攻略に数時間はかかるが、達成感が大きい。
・NPCのキャラが強烈
ゼルダは主人公リンクのみを動かすゲームで、基本的に仲間がいない。その分NPCに個性が強い人が多い、というか個性の強い人しかいない。
初登場のチンクルを筆頭に、バクダン屋の店主、マニ屋のおじさん、銀行(預かり所)の店員すら個性的。危ない人がたくさん登場する。
・ラスボス討伐後の世界
破滅を待つ世界なので、クリア後の世界は清々しい。
世界を救ったという実感を感じられる。
前作では(子供リンクが)世界を救ったという実感がないから尚更。
良いエンディングでした。
B ゲームの大まかな紹介
1 ゲームのストーリーと特徴
月が落ちると滅亡する世界「タルミナ」
落下まで3日間という時間制限の中、
お面を切り替えて謎解きをしていくのが本作最大の特徴。
「時の歌」を奏でて3日前に戻りセーブができるが
その時に失われるものと失われないものを把握し
計画的にゲームを進める能力が問われます。
2 キャラクターの魅力
毒のあるキャラクターが多い。
今のゼルダにつながるキャラクターのルーツを感じることができる。
35歳独身、妖精に憧れる男、チンクル初登場。
その他にも変な踊りを踊っている人が多数登場。
ラスボスがコサックダンスを踊る怪作。
3 主要作品の簡単な紹介
ゼルダの伝説はファミコン時代の1986年から続く歴史あるタイトルで、近年ではブレスオブザワイルド~ティアーズオブザキングダムと立て続けに大ヒットを記録し、普段ゲームをしない一般層までその魅力を届けることに成功した。
初代ゼルダ~時のオカリナまでは国内100万本を突破する超人気タイトルだったが、それ以降は国内ミリオンを記録することはなく、長く低迷が続く。
海外では普通に売れていたが、特に日本での売り上げは良くなかった。
クリアに謎解きが必要という敷居の高さがその最大の原因だが、「ゼルダのアタリマエを見直す」という名目で作られたブレスオブザワイルドの大成功で不動の地位を獲得。
誰もが知っている「ゼルダの伝説」の地位に躍進したのは最近のこと、出しても売れない暗黒時代があのゼルダにもあったのです。
C ゲームとしての完成度の評価
1 操作性とUI
カメラを自分で回せないので遊びづらいが、これはあの時代のゲームは全てそうだから、慣れるしかない。
デクナッツ、ゴロン、ゾーラ全ての操作にストレスが伴う。
弓矢、フックショットも当たる気がしない。
3Dというものに、ゲームのシステムが追いついていない。
誰が悪いわけではなく、当時は試行錯誤の時代だから仕方がない。
UIはカワイイという表現がぴったりであまり洗練されてはいない。
時間を気にするゲームなので中央下部に時計が配置されているが、大きすぎて圧迫感を感じる。
悪い意味でゲームっぽさ、安っぽさを感じる。フォントなども含めてゲームの世界観にマッチしていないと感じた。
アイテムの多さに対して、あのウインドウ形式だとどうしても選択に時間がかかる。
瞬時に切り替えるための、何かしら打開策があればよかったのかもしれないが・・・
「面倒臭いのはわかっているけど、そういう謎解きゲームなので我慢してください」ということなのだろう。
2 映像とサウンド
映像に関しては、今が良すぎるので比較はできない。
あの時代のベストとして受け入れるのが筋だろう。
音にこだわるゼルダだからこそ、デクナッツ、ゴロン、ゾーラ、それぞれの楽器の演奏の音は素晴らしい。モーションもコミカルで笑える。
メロディーは普遍なので、簡単に時代を超えてくる。
古臭さを感じることはないし、記憶に残る名曲も多い。
3 パフォーマンス
元々はROMカセットなので、データの読み込みが遅いということはないのでありがたい。バグに遭遇することもなく、最後まで快適に遊べた。
E 最後に
「最近のゼルダ(BW&TK )はダンジョンや謎解きが退屈で物足りない」
定期的にそんな声が聞こえてくるが、ムジュラのダンジョンに慣れている人がそういう感想を持つのも納得だ。
「ブレワイが退屈なのではなくて、貴方がすごいのです」
謎解きの上級者であることに早く気づいてほしい。
個人的にはブレワイの祠や神獣の難易度がちょうどいいので、これ以上ダンジョンを難しくしても初心者が脱落するだけだと思う。
実際、ムジュラ以降のゼルダは海外ではそこそこは売れていますが国内100万を超えたことはなく、低迷が続きました。
「ゼルダは難しい」のきっかけを作ったのがこのムジュラ。
見直されるべき「ゼルダのアタリマエ」がすべてこのソフトに凝縮されています。
青沼さんもおっしゃっていますが、開発陣がユーザーに対して「挑戦状」を叩きつけていた時代です。売れなくてもいいから、難しさを追求する。そんな時代もあったよねと懐かしく感じます。
ゼルダの歴史を知る上でも、なぜ売れなくなったのかを理解したい人はこれを遊んでみるのもいいかもしれません。明らかにユーザーを挫折させようとして作ってますから。
ブレワイ&ティアキンがいかに遊びやすくデザインされているかわかりますよ。
ゲームの進化の流れ、開発陣の寛容度の変化、そして現在のゼルダの状況。
ゼルダ発展の流れを知ると実に面白い。
ただ、最後に言っておきたい。
絶対にゼルダ初心者は手を出してはいけません。
他に遊ぶべきゼルダはたくさんあります。
ムジュラに興味があるなら上手な人のプレイを実況で見るのが正解です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
やっぱりブレワイとティアキン、この2作を遊ぶのが正解