伊豆旅行の最後のキスのせいで2人の距離感が変わってきます。
自己肯定感の低いひらまさはあれを過ちだと思ってしまい、それをなかったことにしたい。それに反してみくりはさらにひらまさへの想いが募ってしまう。
それが原因で2人がすれ違いはじめます。
90年代のトレンディドラマなら重くなってしまう展開なのですが、時代はそれを求めていない。あくまでもコミカルに描きます。それがこのドラマがヒットした理由でしょう。
みくりの誕生日が過ぎていることに気づいたひらまさ。
何を渡そうか散々迷った挙句、現金をプレゼントします。個人的にはこの選択は良いと思いますが、渡す時にかけた言葉があまりよくなかった。
「これはプレゼントではなく賞与です。雇用主が従業員の誕生日に個人的な贈り物をするというのはあまりよろしくないと思いました。だけど日頃の感謝の気持ちは形にしたい。なのでお返しは不要です。以上です。おめでとうございました」
ひらまさらしい誠実さがこもっているのですが、みくりが求めているものはこれではない。
「1ヶ月も過ぎてからなぜ。これはもしやキスの慰謝料?」
と完全に疑心暗鬼。
■メールのやりとりから見えるみくりの文章力の高さ
そのあと深夜のメールのやり取りが続きます。
みくり
賞与、ありがとうございます。
きいていいですか?
どうしてわたしにキスしたんですか?
ひらまさ
すみませんでした。
雇用主として不適切な行為でした。
どうかなかったことにしてもらえませんか?
と送りそうになった瞬間、次のメールがきます。
みくり
謝る必要はありません
ひらまさ
しかし一方的で許されない行為だったように思います。
深く反省しています。
みくり
社員旅行としてはセクハラでアウトですが、新婚旅行という体でもあったし、一応型式上は恋人なのでスキンシップの延長でアリじゃないでしょうか。
ひらまさ
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
みくり
こちらこそよろしくです。
末長く。
ここは見応えがありました。と同時にテキストでのやりとりの難しさも感じました。
なんとかひらまさの気持ちを引き出したいみくりですが、ひらまさの誠実さゆえのこのもどかしいやりとり。
メールから納得のいく言葉はもらえませんでしたが、最後の「末長く」がひらまさには効きました。低すぎる彼の自己肯定感を高めることに成功したのです。
翌朝から2人の空気が変わります。
ハグのあとのひらまさの
「今日はちゃんと先に寝てください」
この一言がみくりを骨抜きにします。
肝心なことを言えないようで、実は言えているひらまさ。
彼には彼なりのキラーワードを持っているのです。
コミュニケーションに正解はありませんが、相手を思いやる一言は必ず響く。
勉強になりました。
最後、ゆりちゃんの家でのみくりとの会話に名言がありました。
みくり
お金はほしい、お金って生活だし。でも稼げさえすればいいっていうビジネスライクなことよりも、好意を持って繋がってたいなあっていう。
ゆりちゃん
それは大事。どんな仕事も相手への感謝とリスペクト。
仕事に関する話でしたが、これはどんなことにもあてはまります。
みくりはこの言葉によって、ひらまさがみくりに感謝と敬意を示してくれていたことに気づきます。
仕事も恋愛も親子も友達も、大切なのは感謝と敬意。
忘れないようにしたいものです。