鬼滅の刃21巻読み終わりました。
一番沁みる話が巻頭の一話目にあるという珍しい構成でした。
「兄を想い弟を想い」というタイトルが示すとおり、二組の兄弟がそれぞれの死の間際に兄や弟を想う重要な話です。
無一郎も、玄弥も、実弥もみんな優しい。
「ここまで自分の弟のことを想うことができるだろうか」個人的には自分のことを責められているみたいで、読んでいて辛くなりました。
鬼滅の刃の登場人物の優しさには、必ずその理由があります。
登場以来厳しさの塊のような人間だった玄弥。その厳しさの理由は何だったのか。それがすべてこの一話に凝縮されているような気がしました。あの狂気的な厳しさはこの「兄を守りたい」という究極の優しさの裏返しだと僕は解釈しました。
そして無一郎の、
「僕は幸せになるために生まれてきたんだ」
というシンプルな一言。
生きていく上で最も大切なことを思い出させてくれました。
中盤以降はラスボス鬼舞辻との総力戦。強さと残虐さにひたすら圧倒されます。
読み進めるのが辛くなるほど、鬼舞辻は強いですが、愈史郎くんが奮闘しています。最も勝利に貢献しているのはいまのところ愈史郎です。
ジャンプでは完結しているのでおそらく倒せるのでしょう。それだけを信じて今後の単行本を待つしかありません。
「古の記憶」以降の二話が個人的には好きです。
再び縁壱が登場し、自身のルーツや鬼舞辻との因縁も遂に明かされます。
お前たちが幸せそうで嬉しい。
幸せそうな人間を見ると幸せな気持ちになる。
この世はありとあらゆるものが美しい。
この世界に生まれ落ちることができただけで幸福だと思う。
もはや神の境地に達している縁壱の言葉一つ一つを噛みしめながら最後まで読み進めました。
この人が出てくるととにかく自分のメンタルが整います。こういう物静かで達観している人に僕は弱いようです。おそらく僕だけでなく、みんなそうだと思います。
縁壱の立ち振る舞いに人間の理想を見つけることができます。
今回も悲しい話が多かったですが、得たものは大きかったです。
赤子を抱き上げ、涙を流す・・・
何気ない日常に幸せを感じられるか。
幸せになるために必要なことはそれかもしれません。