ネタバレありにつき、未プレイの方はご注意ください。
大樹崩壊後、二度目に訪れた聖地ラムダでこんな気持ちになるとは全く想像していませんでした。聖地だけあって、ここの住人たちは本当に強いです。
■セーニャの合流
クレイモランから聖地ラムダに向かう道中。
シケスビア雪原で突然魔竜ネドラに襲撃されます。以前訪れた時には氷獄の湖の中に凍っていたのですが、大樹崩壊の影響で解凍されたようです。
かなりの手強さで全滅も覚悟しましたが、なんとか撃破。
倒したかと思いきや、本気モードで再度攻撃をしかけてきます。
絶対絶命のピンチに竪琴の音色とともに、呪文使いの救いの手が差し伸べられます。
ここでセーニャが再加入します。一人で旅を続けていたとのこと。頼りなさと天然さは影を潜め、以前よりも少し大人になっています。
この直後、グレイグに話しかけましたが、興味深いことを告白してくれました。
ベロニカとセーニャか・・・。
たしかに俺が勇者を追っている時にそのふたりの名を報告で受けたことがある。たしか人間に化けた魔物の姉妹が勇者の仲間となりあちこちで悪さをはたらいてるとか・・・。
・・・かつて俺が仕えていたデルカダール王国はなんの罪もないうら若き女性を魔物と見なすほど正気を失っていたのだな。
■大樹崩壊時の真実
ラムダへ戻り、両親と長老に帰郷の挨拶を済ませたセーニャはベロニカを探すため、気配があるという思い出の森へ。そこにはベロニカの杖が残されていて、そこで大樹崩壊時の事実を知ります。
地形が変わってしまうほどの大樹崩壊時の衝撃。その時全員が助かった理由がここで明らかにされます。ベロニカが身を挺して皆を守ったのでした。
命の大樹でウルノーガに会う直前のキャンプでなんとなく嫌なフラグは立っていましたが、こんな展開が待っているとは全く想像できませんでした。
それにしてもここの物語の見せ方は完璧です。大樹崩壊は描いてもその瞬間は描かなかった。そうすることによってなぜ助かったのかを最後まで隠すことができたのです。
シルビア、マルティナ、ロウ、カミュの追加ストーリー、主人公の海底王国での魚でのスタートからの今までの長かった冒険。その全てはベロニカの犠牲によって成り立っていたことをここで初めて全員が知るのです。
真相を語るベロニカ目線の大樹崩壊シーン。最高に泣けました。無駄に生意気なキャラ設定はこのギャップを作るためだったんですね。
私たちは勇者を守る宿命を負って生まれた聖地ラムダの一族。
これからは命に代えてもあなたをお守りいたします。
仲間に加わった時のセリフが思い出されます。
与えられた使命を忠実に実行してベロニカは消えます。
その時のマルティナとの会話が良かった。
私たちは何も知らずに・・・
自分たちが助かったことをただの奇跡と信じてこれまで旅を続けてきたというの・・・?
もうダメ・・・正気ではいられないわ・・・。
個人的にはベロニカはまだ生きていて何か重大な場面で、
「あたしが死ぬわけないでしょ!偉大なる大魔法使いなのよ」
と再登場する胸熱な展開を期待しています。
セーニャは全てを受け入れ、姉の遺志を引き継ぐことを決意します。
■聖地ラムダの気丈な人々
ベロニカの葬儀という全く予想できなかった展開。
両親が涙に暮れるのとは対照的なセーニャの気丈さに心を打たれました。葬儀でラムダの人々は続々と聖なる火に自らの髪の毛を捧げます。
葬儀後も燭台を守っている街の人に聞いた話。
葬儀の時に燭台へ手向ける髪は、命の大樹のもとへ届くことを願い捧げられる故人への最後の贈り物ですわ。捧げる髪の長さは思いの丈の長さ・・・。
深く愛し合った恋人や夫婦が死に別れた時は、すっかり(自分の髪を)短くしてしまう人もいるそうです。
故人のために髪を手向けるというこのラムダの風習があとで涙を誘います。
葬儀の後に街の人々や仲間達と会話をしたのですが、どれも記録しておきたいものばかりでした。
ぼくの姉は命の大樹が落ちた時に、この辺りを襲った衝撃からぼくを守るために自らを盾にして、命を落としました。
ですから・・・ベロニカさんの家族のことはとても他人事とは思えません。
姉さんも ベロニカさんも何を願って 死んでいったのでしょう・・・。
ぼくは生き残ってよかったんでしょうか・・・。
これがラムダの少年の精神の成熟度です。
誰かのために命を投げうつのはたしかに勇気ある行為かもしれません。
けれど美談とするには残酷すぎます・・・。
その子の隣にいるおばあさんの考察も深い。
ベロニカの幼少時代を語るおばさん。
・・・ベロニカは子供の時から覚えたての魔法をあちこちにまきちらす、それはそれはおてんばな女の子でね。
だけど どんなにあぶない魔法を使っても、けっして動物や植物はキズつけない心の優しい子だったんだよ・・・。
後付けで優しさを追加するのはずるい。
初めてラムダにやってきた時にちょうど赤子を授かっていた夫婦。実は大樹崩壊の衝撃でその子を亡くしていました。ベロニカのことが街の人々に知らされる前は、夫婦で嘆いている姿も見られました。
私・・・大樹が落ちた後に子供を亡くしてから悲しみのあまりに何度も後を追うことばかり考えていました。でもベロニカの葬儀で思いだしました。
昔ベロニカと一緒に将来の夢を語り合ったことを・・・。
いつまでも悲しみに暮れていたら、亡くなったベロニカに怒られてしまいますね。精一杯生き直してみようと思いますわ・・・。
聖地ラムダという場所に生きる人々の強さを痛感しました。
当たり前のようにそばにいたヤツでもふとしたスキにいなくなっちまう。そんなことはわかっていたはずだ・・・。
もう一度アイツに会ったら話したかったことや聞きたかったこと・・・。
いろいろあったがもう会えないんだな・・・。
マルティナ
まるで空が泣いているようね・・・。
エレノアさまと最後にお会いしたあの日を思いだすわ・・・。
16年前あなたを川へ落としてしまったあの時から・・・。私はずっと大切な人を守れるように強くなろうとしたの。
でも私はまだまだ未熟だったのね・・・。
世界そのものを・・・すべての命を守ろうとするベロニカのほうがずっと強かったわ・・・。
みなそれぞれの悲嘆に暮れる中、街の広場に佇むシルビアの隣に一匹の子犬が懐いていました。犬も人間を見抜く力があるのだなと妙に納得しました。