内向型の逆襲

念のため言っておきますが、ブログ名がとてつもなくダサいことは認識していますよ

DQ11 夜のしじまヶ浜での出来事

ネタバレありにつき、未プレイの方はご注意ください。

 

ソルティコの水門を開けてもらい、意気揚々と外海へ。外海に出てまもなく人魚のロミアと出会い、彼女の依頼で漁師のキナイを探すことになります。

 

向かった先のナギムナー村でそのキナイはもうすでに亡くなっていることを知ります。人魚は500年生きるのに対して、人間はその5分の1も生きられません。

ロミアがどれくらいの年月キナイが迎えに来てくれることを待ち続けていたのか、それを思うとやりきれない思いになります。

 

■究極の選択

孫のキナイから約束のベールを託され、ロミアが待つ白の入江へ。

キナイがもうこの世にいなくなったことを伝えても信じようとせず、ナギムナー村までついてくることになったロミア。

もうこの時点で覚悟はできていたことが後でわかります。

 

ロミアに嘘をつくという選択肢もあるみたいですが、そちらは2周目をプレイした時に自分の目で確かめてみます。初見プレイでは嘘をつけません。

 

孫のキナイとロミアが夜のしじまヶ浜で対面。しかし当然のことながらロミアが待ちわびていたキナイとは別人です。

 

手は・・・同じなのね。

キナイと同じ・・・・・・手をしているのね。

ロミアのセリフが沁みます。

 

血は繋がっていないけど、村一番の凄腕の漁師だから同じたくましい手をしている。

同じ優しさを持つ男だから同じ手をしている。

解釈は様々ですが、どう解釈してもここは哀しさしか湧いてこない。

 

陸に上がった人魚は泡となり消える。

それが・・・人魚のオキテ。

最後にキナイと会えてよかった。

 

これが孫のキナイのことを指しているのか、それともキナイ・ユキの墓のことなのかわかりませんが、血は繋がっていなくてもキナイの面影を感じることができた。それがロミアにとってせめてもの救いだったのかもしれません。

そしてロミアは最後の決断をします。

 

ここのシーンは映像、音楽、セリフすべてが融合して全力で襲い掛かってくる感涙必至の名場面です。

ドット絵時代のドラクエで、テキストメッセージだけでここを再現できたか。多分ムリではないでしょうか。今の時代だからこそ表現することのできた名シーンだと僕は思いました。特に人の声が実際に入っているのは大きい。エモーショナルです。

 

この時点ではなぜキナイ・ユキがロミアを迎えに行かなかったのかは明らかになっていません。

 

「もし私が人間だったなら、キナイと共に生きられたのかしら」

 

人魚だったから迎えに来てくれなかったのでは?

そんな悲しみを胸にロミアは泡となり消えていきます。

海に漂う約束のベール。

 

■キナイ・ユキの手紙とロミアの手紙

幽閉されていたしじみヶ浜の小屋でロミアの絵を書いていたキナイ・ユキ。漁師としての腕だけでなく、画家としての腕前も尋常ではないことを見せつけます。

 

ロミアへの想いが詰まった絵の裏に一通の手紙がありました。それを発見したのはマルティナ姫。さすがです。

 

愛する人へ・・・

君に助けられたあの嵐の日から、君を迎えにいくことだけを支えに生きてきた。

 

それももう終わりにしようと思う。すまない。俺は約束を守れそうにない。

 

あれは俺が村を追われて数年後のことだ。ひどい大嵐でたくさんの人が死んだ。村長とダナトラの夫も犠牲になった。

 

その数日後しじまヶ浜の崖の上に、赤ん坊を抱いて立っている女がいたんだ。

その女は・・・かつての許嫁ダナトラだった。

 

ダナトラは生きる希望を失っていた。

大きな悲しみを抱えた彼女に、俺の声は届かなかった。

 

彼女は俺の目の前で海に飛び込んだんだ。

俺はふたりとも助けようとした。だが救えたのは・・・赤ん坊だけだ。

回想シーン(ここがまた泣ける)

人魚の呪いの言い伝えは俺のようにおろかな人間が二度と出ることのないよう、いましめとして村に残した。

君の仲間をおとしめるような皆の言葉を許してほしい。

 

・・・君はまだあの入江で俺を待っているのだろうか。

俺はもう君を迎えにいく資格がない。だがこれだけは信じてほしい。

 

・・・君を愛している。

 

 

ロミアにこの手紙を見せてあげたかった。

人魚と人間だったから結ばれなかったわけではない。そのことだけは伝えたかった。

 

手紙を読み終わった後のキナイのセリフ。

今ならじいさんの気持ちがわかる。

恋を・・・してしまいそうだった。

 

今まで人魚を忌まわしいものだと思ってきた孫のキナイ。自分の祖父の気持ちを理解することで、呪いも解けて彼もまた新しい人生へ踏み出すことができた。それがこの悲しい話の中での唯一の救いでしょうか。

 

マーメイドハープを受け取った後のロミアの手紙。

 

アナタがこの手紙を読んでいるということは私の身に何かが起きたのでしょうね。

最後まで迷惑をかけてごめんなさい。

アナタは私が知る人間の中でキナイの次に優しい人です。

お約束通りアナタを海底へお連れします。

中略

海底王国に着いたら私は幸せだと、女王さまによろしくお伝えください。

本当にありがとうございました。

・・・ロミアより

 

海底王国へたどり着くためのアイテム、マーメイドハープを手に入れるために、こんなにも悲しい話を用意する必要があったのか?

 

人魚が住む入江を襲っているクラーゴンを倒したらそのお礼としてマーメイドハープをもらえる。過去のドラクエだったら容量的にそんな話で済ませていたのかもしれませんが、今のドラクエには容量の制限がほとんどありません。

好きなだけ物語を詰め込められるドラゴンクエスト。人魚のエピソードだけで泣かされてしまうドラクエ。これを定価8000円ほどで遊べるのは幸せなことです。