前回の続きです。
前回まではいいことばかり書いたので、今回はブレワイの悪い点について。悪い点というか、悪く評価されがちな点について、その理由と対策を考えてみます。
長くなりますが、最後までお付き合いください。
ネガティブ評価を受けている5要素
1 武器が壊れる
マイナスレビューで圧倒的に多いのがこれ。確かに武器に耐久値があって壊れるというのは最初は誰でも面食らいます。最弱武器の木の枝なんて、3~4発殴ったら折れます。
2 体力がないからすぐ死ぬ
序盤はちょっとした死にゲーなので、挫折する気持ちもよくわかる。僕も序盤は死にまくりました。崖から落ちたら死ぬし、敵に囲まれたら一瞬でボコボコにされる。あまりにも無力です。
3 雨が降る
雨がうざいっていうのもよく聞きます。
滑るので壁に張り付けないし、山にも登れない。結構なストレスになります。どしゃぶりになって雷が落ち始めると、死の危険すらある。おまけに金属製の武器は雷を呼び寄せる。なんとも理不尽。
4 敵を倒してもレベルが上がらない
経験値というシステムがないので、敵を倒しても素材がドロップするだけ。お金ももらえない。そもそもレベルという概念が存在しません。敵を倒すだけでは強くなりません。
5 音楽が地味
名曲とともにフィールドを闊歩する。それがRPGの醍醐味。ですがその要素は全くありません。僕も最初は「え、音ないの?」と感じました。フィールドでも時々曲は鳴るけど控えめです。
マイナス要素への対応策
1 武器が壊れる
苦労して手に入れた最強武器を長く使い続けるというRPGの伝統を忘れてください。そして殴らないで倒す方法を探してください。それを考えるのがブレワイ最大の遊びです。
もし武器が壊れなかったら強武器でひたすら殴るだけのゲームになります。そうなると間違いなく工夫しなくなる。殴るだけで勝つゲームをいくつかやりましたが、全然楽しくなかったです。ゲームは頭を使うからこそ楽しいと痛感しました。
武器で殴っただけで制圧した拠点は全く頭に残っていませんが、夜襲したり工夫して制圧した拠点は達成感とともに記憶に刻まれています。
壊れる瞬間は敵に投げつけると大ダメージ。これをうまく活用することで楽に倒せます。宝石が眠っている「鉱床」を剣で殴ると剣が壊れますが、ハンマーなら一撃です。様々な特効も用意されているので、その知識が力になります。
最強武器がお宝として眠っている場所もたくさんあり、終盤はありすぎて使いきれないほどです。それを回収するのも一つのイベントになっていて楽しい。
武器が壊れるからこそ、バトルに緊張感が生まれる。僕はそちらを楽しみたい。武器で殴って倒すという概念を忘れた時、さらなる楽しみが生まれます。
2 体力がないからすぐ死ぬ
逃げましょう。それが最善です。「勇者」とは無謀な戦いをするという意味ではありません。殴ってゴリ押そうとするから死ぬわけで、特に序盤は完全な逃げゲーです。
無茶をすればすぐ死にますが、同時に無謀なことをしなければ死なないようにもできています。だからこそ初期状態でラスボスに挑めたり、武器を持たずに全馬宿を解放したりということが可能なのです。
戦うべきか、逃げるべきか。このゲームでは常にその判断力が求められています。
3 雨が降る
滑るのは嫌だし、雷も怖い。それはゲームでも現実でも同じ。
現実と同じようにこのゲームにも天気予報があります。雨の予報なら山登りをしない。遠出をせずに、もう一晩焚き火で過ごす。そんな選択肢も用意されています。
そもそも「雨の日に登山しますか?」「景色の悪い中で山登りして楽しいか?」って話ですよ。車の運転ですら事故率が10倍になるのに、登山なんてしちゃダメ。もう少しリンクをいたわってあげましょう。
晴れた日に登山したご褒美として息を飲む絶景が待っています。これは雨の日の登山では絶対に得られない報酬。開発者側としては、頂上での絶景を見てもらうために、雨の中登山されると困るのです。
雨上がりに現れる虹の美しさもブレワイの魅力の一つ。
No Rain, No Rainbowという言葉の意味が、心に沁みわたります。
4 敵を倒してもレベルが上がらない
レベルが上がらない代わりにこちらが技術を高める必要がある。それがゼルダです。
敵がドロップする武器の攻撃力は上がっていきます。素材を集めれば防具の強化もできる。それが実質レベルアップです。
RPGにありがちな経験値によるレベルアップのシステムは作業になりやすい。レベル上げが楽しいゲームもありますが、アクションRPGであるゼルダでは不要です。
最初は絶対に倒せないと思っていたイワロックやガーディアンが楽勝になる瞬間が訪れます。プレイヤーの腕前が上達する。それがレベルアップであり報酬です。
5 音楽が地味
確かに音楽はびっくりするくらい地味ですが、慣れるとそれが心地よくなってきます。
BGMの主張を抑えフィールドに馴染ませている理由は、曲以外の音を聴かせるため。このゲームには風の音、虫や鳥の鳴き声、水のせせらぎなど様々な音が鳴っています。それが都会の人には癒し要素になっているらしい。その気持ちわかります。
時にはゲーム内で鳴っている「音」が攻略のヒントになったりもする。例えばコログの実が近くにあるとコロコロ鳴りますが、あれはBGMがあったら聞こえません。
そして普段控えめな分、音楽が必要な時はめっちゃかっこいい曲流れますよ。ハイラル城の曲とかはハリウッド映画レベルです。究極の引き算、それがブレワイの音楽。
この5つの要素が必要不可欠だと理解できた人が、このゲームに大ハマりするのではないでしょうか。最近は壊れそうな武器を無意味に敵に投げつけるのが楽しくて仕方ないです。
まとめ ブレスオブザワイルドは究極のサバイバルゲーム
このゲームを300時間以上遊んで感じるのは、ブレス・オブ・ザ・ワイルド(野生の息吹)という名前のとおりのゲームだなということ。どう転んでもアタック・オブ・ガノンにはならない。
・素材を拾い、料理する
・息を潜め、獣を狩る
・木に登り、カブトムシを捕まえる
・拾った野生馬を懐かせ、所有馬にする
・敵から武器を奪い、それを投げつける
・石を落とし、爆弾を爆発させる
・おじいさんの焼きりんごを盗んで食べる
そんな蛮族的ワイルドさがこのゲームの最大の魅力。野生の息吹を名乗るにふさわしいゲーム内容です。
武器屋で武器を買うという当たり前のことすらこのゲームには存在しない。(買える場所は一ヶ所のみ)最初は違和感を感じたこの要素も、今は野生の息吹という言葉で納得です。
「武器?ハイラル城に落ちてるヤツでいいよ」
「ボコ?ウチワで扇いで崖から落としとくか」
そんな野蛮な英傑の声が聞こえてきます。
理不尽が当たり前の過酷なハイラルの世界では、
武器が壊れるのも当たり前
体力がないからすぐ死ぬのも当たり前
雨が降るのも当たり前
敵を倒してもレベルが上がらないのも当たり前
音楽が地味なのも当たり前
馬で駆け、山を登り、空を飛び、敵や獲物を狩る。生き抜くために知恵をしぼり、それを楽しむ。ブレスオブザワイルドはその名前にふさわしい究極のサバイバルゲームです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
本当に1000時間遊べるゲームなので、まだの方はぜひ手にとって遊んでみてください。