内向型の逆襲

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【クリアレビュー】Detroit : Become Human 人間とは何なのか考えざるを得ない物語。何度もやりなおし、正解を見つける過程で大切なことに気づく。

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Detroit Become Humanをクリアしました。

「キャラクターを動かせる映画」という評価は大げさでもなんでもなく、ゲームの可能性は無限大だと改めて思い知りました。

 

映画を2回以上観る時の楽しみは「新しい発見」です。初回はストーリーを追っていて気づかなかった細かい設定などを見つけられると嬉しいし、それに注意して観ると作品の良さがますます引き立ちます。ですが何度観ても結末は毎回同じ。それが映画の唯一の弱点です。監督が求めるストーリーしか味わうことしかできない。

 

それに対してこのゲームは、限度はありますが周回することでストーリーを自分が望むように変えることができる。プレイするたびに、周回を繰り返すたびに物語の深みを感じられる。それがこのゲームの最大の魅力です。

 

未プレイの方のために極力ネタバレをしないように話を進めますが、軽微なネタバレが含まれることをご了承ください。

 

作品の説明

www.jp.playstation.com

 

あなたの感情と、選択が運命を紡ぐ、壮大なオープンシナリオ・アドベンチャー

 

それは命か、それともモノか。

 

ストーリー 2038年、デトロイト人工知能やロボット工学が高度に発展を遂げた、アンドロイド産業の都。 人間と同等の外見、知性を兼ね備え、様々な労働や作業を人間に代わって担うようになったアンドロイドは、社会にとって不可欠な存在となり、人類はかつてない豊かさを手にいれた。

 

しかし、その一方で、職を奪われた人々による反アンドロイド感情が高まるなど、社会には新たな軋轢と緊張が生まれはじめる。 そんな中、奇妙な個体が発見される。「変異体」と名付けられたそのアンドロイドたちは、あたかも自らの意志を持つかのように行動しはじめたのだった。

(公式より引用)

 

プレイの概要

・プレイ時間 15時間くらい

・プレイ開始日 2021年9月11日

・クリア日 2021年9月20日

・難易度 カジュアル

・英語音声 日本語字幕

※吹き替えをしてくれた声優さんには申し訳ないですが、英語音声・日本語字幕にしました。口の動きも同期してないし、外人顔で日本語ボイスにはやっぱり違和感を感じます。

 

プレイ済みの同ジャンルゲーム

なし

 

実在するデトロイトについて

蛇足になりますが、デトロイトについて少しだけ調べました。

 

アメリカ中西部ミシガン州の州都。現在の人口は67.48万人で島根県静岡市と同じくらい。主要産業は自動車産業で、日本の豊田市とも姉妹都市縁組をしている。

 

アメリカで最も治安が悪い都市とも言われている。市の統計では子供の6割が貧困生活を強いられ、市民の半分が読み書きもできず、市内の住居の3分の1が廃墟または空き部屋となっていて、失業率は18%に達する。

Wikipediaより

 

デトロイトの人口の8割をアフリカ系アメリカ人が占める。1967年のデトロイト暴動から影響を受けたと思われるストーリー展開も納得がいく。

 

デトロイト・ロック・シティ(ロックバンドKissの曲)

デトロイト・メタル・シティ(日本の漫画)

これらの影響で日本でも馴染みのある地名でもあるが、実情はかなり悲惨。

 

カナダと国境を接する町で、デトロイト川やエリー湖の対岸はカナダという特別な立地。そのあたりの設定がストーリーでも重要になってくる。

 

そういう背景を知った上で遊ぶとさらにこのゲームの理解が深まる。

 

日本国総領事館からはこんな注意喚起もあります。

https://www.detroit.us.emb-japan.go.jp/files/000365635.pdf

 

良かったところ

1 社会性のあるストーリー

それは命か、それともモノか。

ゲームの作り手が投げかける言葉どおり、人間とは何なのか、アンドロイドとは何なのかを考えざるを得ない物語になっています。

 

何度もプレイするに値する深いストーリーなので、必ずこの世界に引き込まれます。

 

2 アンドロイドの描写がリアル

お手伝いロボットとしてだけでなく、性の対象になっていたり、バスでは乗車できるエリアを分けて差別していたり、アンドロイド排斥運動があったり、とにかくリアルです。

 

3 設定が細かく現実味がある

ゲーム中に拾えるデジタルマガジンの記事がユニークです。アンドロイドバンド(ミュージシャン)が音楽賞を受賞し、それに反対する人間ミュージシャンの記事があったりする。これを読んでいるだけで未来を疑似体験できます。

 

実際、初音ミクが出てきた時に同じようなことが起こっているので、近い将来同じことが起こるかもしれないです。

 

悪かったところ

1 操作性にクセがある

全体的に操作がモッサリしてます。あと操作のコツを掴むまでにけっこう時間がかかります。

 

確かにこのゲームにダッシュは必要ないですが、アクションゲームに慣れきった身にはダッシュがないのがつらかった。せめてもう少し速く歩いて欲しいというシーンがかなりありました。

 

視点を切り替えることで余計混乱し、部屋の中で迷子になった。この機能よりも、今のゲームでは当たり前のカメラを回すというという機能が欲しかった。

 

2 セーブがない

これは悪いというほどのことではなく、少し気になった程度なのですが、手動セーブができません。チャプターが変わった時にオートセーブされるのみです。

 

3 チャプター飛ばしがない

このゲームの特色として、納得いくエンディングを見るまで何度も周回プレイすることになります。それはいいのですが、チャプターを飛ばせないのが痛い。

 

クリア以降はどこからでもやり直しができます。それはありがたいのですが、ゲームの前半で分岐した新しいルートを通った時点でセーブしてしまうと、その先を見るためにはそこのパート以降の全てをやり直す必要があります。

 

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ストーリーが分岐したので結末が変わってくるのは当然なのですが、全部やり直すのはさすがにツラいです。

 

前回と全く同じルートを進むならそのチャプターをスキップできるとか

フローチャートをなぞりながら進めてプレイを省略できるとか

 

時短のための何かしらの救済措置が欲しかったというのが正直な気持ちです。

 

初見プレイ時のエンディング

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コナー 最後の切り札 

コナーモデルは廃棄された(全世界の選択 3%)

 

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マーカス 運命の分かれ道ーマーカス行進

マーカスが仲間と共に殺された(全世界の選択 5%)

 

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カーラ 運命の分かれ道-カーラ旅立ち

アリスが死にカーラが1人になった(全世界の選択 13%)

 

完全にバッドエンドってヤツですね。

全員生存すらできないバッドプレイでした。初見だから見逃して。

 

本編とは関係ないですが、コナーと言えば「ターミネーター」を連想する世代です。SFモノとコナーという名前の相性がいいですね。

 

印象的だったチャプター

軽微なネタバレがありますが、ご了承ください。

 

・エデンクラブ

ストーリーを進めて行くと、アンドロイドを性の対象にしていたという事実が明らかになります。その総本山というべき場所「エデンクラブ」に捜査の一環として訪れます。

 

ショーケースに陳列されているアンドロイドたち。男性用・女性用どちらも用意されています。ポールダンスを披露している個体もいるし、「別室」も用意されている。盛り上がった場合は行為に及ぶことも可能という設定。そのバックヤードには廃棄されたアンドロイドの倉庫も存在する。全てがリアルです。

 

実際にこんな時代が訪れそうな気がします。

 

・海賊の入り江

宿を求めたカーラとアリスがたどり着いた廃墟の遊園地。

そこで不法投棄されたアンドロイドたちとのちょっとした交流があるのですが、ここは感情を揺さぶられる名シーンです。

 

主人公3人以外で好きなキャラ

1 ハンク

彼主役でスピンオフを作って欲しいほど魅力的。挫折と絶望を知る実に人間らしいキャラ。メタルミュージックをこよなく愛す一面を持つ。

 

2 ノース

人間に対する憎悪の原因を知った時、彼女のそれまでの振る舞いの全てに納得が行く。美人。

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3 カール

唯一のまともな人間。そして絵に描いたようなダメ息子を持つという設定に同情が湧きます。

 

4 クロエ

美人。ゲームの案内役を務める。

 

このゲームに何を求めていたか、何が響いたが

プレステ4を買ったら「絶対にやるべき神ゲー」と誰もが言っているので、それが本当かどうか確かめたかった。

 

実際にやってみてやっぱり僕もそう感じるほどの満足の行く出来です。非の打ち所がないほどの完成度です。発売から3年経っていますが、絵もめちゃくちゃ綺麗です。

 

アンドロイドvs人間という近年ありがちなテーマですが、その中でも最高傑作と呼べるほどのストーリーではないでしょうか。とにかくこの作品はリアルで、本当に近々こんな時代が来るという予言めいたものを感じます。

 

主役が3人いて、それぞれの登場人物の立場からアンドロイドと人間の関係を描くという物語の描き方も秀逸で3人全員に感情移入できました。特に僕が見たカーラのエンディングが辛くて響きましたね。

 

考えさせられる。

この一言に尽きます。

 

まとめ

このゲームの魅力をまとめると、

 

自分なりの正解を探す過程で、大切なことを伝えることに成功したゲーム

 

になります。

 

RPGやアクションにおなじみの、爽快感や達成感を感じるためのアクション要素や育成要素はほぼ皆無で、おまけにキャラクターの動きはモッサリしてます。没入感を味わえる要素は、物語の秀逸さのみ。そこで勝負して、その勝負に見事打ち勝った。だからこそ、評価が高くなっているのだと思います。

 

おすすめの映画は「ショーシャンクの空に」と必ず言っているのですが、今後もし「好きなSF映画は何ですか」と聞かれたら「厳密には映画じゃないけど、Detroit Become Humanがおすすめ」と答えます。

 

「このゲームは物語の秀逸さのみで成り立っている」と言っても過言ではないほど、引き込まれるストーリーでした。

 

じっくり時間をかけてキャラを動かすことで堪能できる、映画とは違った魅力を持つ深い物語。納得のいくまで物語を深掘りし、考察したい。2周目以降を遊びたくなるすばらしいゲームでした。

 

このゲームはPS STOREのセールの常連になっていて、1072円(75%オフ)で購入できます。ダウンロード版に抵抗のない人はそちらを強くオススメします。