内向型の逆襲

念のため言っておきますが、ブログ名がとてつもなくダサいことは認識していますよ

「他人を攻撃せずにはいられない人」を読んだ

 

 ずっと気になっていたこの本をついに読むことができた。

タイトルどおり、他人を攻撃せずにはいられない人の解説本。あくまで解説本であり、対策本ではありません。

 

本の最後にこんな言葉があります。少し長いですが、紹介します。

 

攻撃欲の強い人が他人を攻撃せずにいられないのは一体なぜなのかを理解していれば、やり返すことはできなくても、少なくとも、うまく逃げて、振り回されないようにすることはできるはずですから。

 

何よりも、自分に自信がなく、他人の幸福が羨ましくて歯ぎしりしたいほどだからこそ、他人を傷つけたり痛めつけたりせずにはいられないのだということを、さまざまな事例を通してご理解いただけたのではないでしょうか。

 

ですから、攻撃欲の強い人を哀れみの目で眺めながら、「自分はあんなふうにはなりたくない。あんなふうにならないように気をつけよう」という気持ちで、日々を生きていっていただきたいと思います。

 

決して自分の攻撃力を高めようとせず、

防御力と回避力を上げてやり過ごそう。

僕はそう解釈しました。

 

そのために知っておく知識が丁寧に解説されています。精神科医の作者がこれまで現場で接してきた事例だけあって説得力があります。

個人的には今現在、弱っている人は読まない方がいいと感じました。読んでいると思い出して辛くなるからです。落ち着いている時、メンタルの調子がいい時に読んでください。

 

小説や漫画などの物語を書いていて、悪役のキャラが浮かばない。そんな人はこの本を読めばその悩みも解決するでしょう。悪役の手本みたいな狂人が続々登場します。

 

第1章 「攻撃欲の強い人」とは

第2章 どんなふうに壊していくのか

第3章 なぜ抵抗できなくなるのか

第4章 どうしてこんなことをするのか

第5章 どんな人が影響を受けるのか

第6章 処方箋 かわし方、逃げ方、自分の守り方

 

1章から5章までは、詳しい事例が延々と続くので正直、自分が過去に遭遇した嫌な人たちが、フラッシュバックしてきて苦しかった。ここまで掘り下げなくてもいいよと思うくらい掘り下げてくれるので、読んでいて息苦しくなります。

 

それは決して作者のせいではなく、自分の過去にそういう人がたくさんいたから。休憩を挟みながら、猫を撫でながらなんとか読み進めました。

 

・母親を攻撃し続ける父親

・人を殴るのを趣味にしていた中学時代の部活の顧問

・どんな職場にも必ずいたトラブルメーカーたち

・自分のことしか興味がなく典型的な「なってはいけない金持ち」だった雇い主

・職場で他人をゴミのように扱い続けたサイコパスな女

・ネットの炎上やSNS掲示板での攻撃的な言動

 

他人を攻撃せずにはいられない人が、世の中を不幸にしている。

自分のことから、世の中で起きていること全部に見事にあてはまる。

 

第6章で対処法が示され、ようやく救いの手が差し伸べられます。僕はそんな印象を受けました。メンタルが弱い人や現在攻撃を受けている人は第6章だけ読んでもいいかもしれません。

 

20代でまだ社会に出ていない人は、この本を読んで「そんな人いるわけない」と思うかもしれませんが、50代が迫ってきた僕は「そんな人ばっかりだったな」と妙に納得できました。

 

若い人は、関与した人間の絶対数が少ないので、攻撃的な人々への対処法がわからないと思う。ぜひこれを読んで「予習」しておいてもらいたい。あらかじめ知っているだけでも救いになります。一緒にいると妙に疲れる人、ストレスを感じる人の理由がよくわかります。

 

「なぜこの人はこんなことをするんだろう」

「話し合えばわかりあえるのだろうか?」

考えるだけ無駄でした。

 

相手が攻撃的な言動に出るメカニズムがわかっても結局は逃げるしかない。作者もそうおっしゃっている。僕も同感です。

それ以外自分が助かる方法はありません。

 

この本は素晴らしいですが、こういう本がベストセラーにならない世の中になることを願うのみです。