内向型の逆襲

念のため言っておきますが、ブログ名がとてつもなくダサいことは認識していますよ

ふぁみこん昔話 ぜるだのでんせつ

ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドをクリアしたあと、初代ファミコンゼルダの伝説を遊んでみました。最新作に触れた直後に、35年前の作品はきついかなと思いましたが、想像以上に楽しく遊べました。完成度はかなり高いですね。

 

2021年6月16日のニンテンドーダイレクト E3 2021でゼルダの伝説仕様のゲームウォッチ発売のアナウンスがありました。初代ゼルダの伝説に加え、リンクの冒険も遊べる。両方をリアルタイムで遊んだ世代にはたまりません。

 

その初代ゼルダの伝説を遊んでいた頃、35年前の思い出話です。

 

初めて出会ったファミコンで遊ぶ大人の女性

ゼルダの伝説が流行っていた1986年。その頃、僕は書道を習っていました。今はどうかわかりませんが、あの時代は習字やそろばんが小学生の習い事の大定番で、至る所に小さな教室がありました。

 

近所の空き家っぽい民家の一室が書道教室になっていて、そこに若い女性の先生が教えに来ていました。正確な歳はわかりませんが、25歳前後ではないかと推測します。

 

どういう流れでそうなったかは覚えていませんが、その先生の家にゲームをするために遊びに行くことになりました。今と違って大人がゲームをするのが当たり前でない時代。ゲーム好きな大人が存在することが新鮮で嬉しかったことをよく覚えています。

書道の先生は、僕にとって初めてのゲームをやる大人の女性でした。

 

そもそも僕は女の子はあまりゲームをしないと思っていました。男3人兄弟なので、女子の生態を知らないっていうのもありますが、当時は今ほどゲームをやる女子はいなかったです。ドラクエをやっている女子なんてほとんどいなかったし、女の子とゲームの話題で盛り上がることなんて全くありませんでした。

 

ニンテンドースイッチのCMで、小学生くらいの男女がマリオで盛り上がっているのを見ますが、僕にはあの体験はありません。ゲームは男同士でやるものでしかなかった。

そんな時代に女性の家にゲームをする目的で遊びに行く。これはかなり凄いことでした。

 

「センセイのイエでゼルダをアソベ」

課せられたミッションの重大さに気付くことは遥か先のこと。

 

今思えば、大人になる上で避けては通れない重要なイベントだったのでしょう。

 

リアル「ゼルダの伝説

場所を教えてもらって歩いていくということになりました。まあ、小学6年生なのでそれくらいできるでしょう。

 

アーケードを抜けてずっとまっすぐ行って2本目の路地を左

 

そんな感じのかなり断片的な情報を頼りに、僕は一人で先生の家に向かいました。ポケットにはゼルダの伝説のディスクを握りしめています。

 

その辺りは、この街にしては住居が密集しているエリア。どれだけ探しても先生の家を見つけることはできませんでした。まだ携帯電話も何もなかった時代。おまけに先生の家の電話番号すら聞いていない。

 

その日は諦めて家に帰りました。

明らかな準備不足で、見通しが甘かったと言わざるを得ない。

 

迷ってしまって、目的地にたどり着けない

無駄足、それこそがゼルダの伝説

 

もうすでにプレイは始まっていました。

 

ブレスオブアダルト

次の書道教室で念入りに先生の家を教えてもらい、ついに先生の家にたどり着きました。最大の謎解きを終え安堵。先生の家は、小さな平屋建ての一軒家。田舎ではよくある借家です。

 

純情な小学生なので何も期待してはいないのですが、なんとなく先生と二人でゲームを遊ぶ光景を思い浮かべていました。しかしそこには先生だけでなく、先生の彼氏という謎の生命体が生息していました。

 

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オレタチノ イエニ ヨウコソ

 

先生の家に彼氏が転がり込んでいるのか、それともその逆か。同棲しているのか。たまたま遊びに来ているだけなのか。聞く勇気はなかったので、真相はわかりません。ただ、先生は見ないであろう大人向けの本が置いてあったので、そういうことなんでしょう。

 

その彼氏は悪い人ではなかったけど、多分いい人でもなかった。

人見知りをする僕にとって、彼の存在がかなりのプレッシャー。覚えているのはそれだけです。

 

若い男女が二人で暮らしている、見てはいけないような刺激的な空間。

初めて立ち入る親以外の大人の世界。

そんな空間でゼルダの伝説に没頭できるのか。

 

協力プレーや対戦要素が一切ないゼルダの伝説

それを見ているだけの先生と、黙々とプレーを続ける僕。そして、それを横で見ている謎の生命体。シュールで乾いた時間だけが過ぎていきました。

 

自分の彼女の教え子が、ファミコンをやるために遊びに来るってどんな気持ちなんだろう。今となってはわかりませんが、その彼氏に聞いてみたい気もします。

 

先生の家を訪れるのは、それが最初で最後となりましたが、今でも覚えているというのはそれが楽しかったからでしょう。

 

さいごに

大人たちがゲームに理解のないあの時代。子供をゲームに誘ってくれたあの書道の先生のおかげで不思議な体験ができました。

 

初代ゼルダの伝説をやると必ずあの書道の先生を思い出します。

もはやその曲が伝説だと呼んでいいフィールドの曲、印象的なダンジョンのBGM、隣から響いてくるボスの鳴き声。思い出とゲームが密接にリンクしています。ゼルダだけにな・・・

 

ゼルダの伝説とは

1 目的地には自分の力で辿り着くこと

2 見知らぬ敵に囲まれる重圧に打ち勝つこと

 

文字の美しい書き方だけでなく、人生を生きる上で大切なことも教わりました。

 

先生も絶対ブレスオブザワイルド遊んでいると思う。

今度は先生がプレイしているのを僕が横で見る番。

 

先生ありがとうね。