内向型の逆襲

念のため言っておきますが、ブログ名がとてつもなくダサいことは認識していますよ

DQ11 ホメロスは悪人なのか?

 

ネタバレありにつき、未プレイの方はご注意ください。

 

デルカダール王の玉座に鎮座するホメロス。斬りかかるグレイグ。

その戦いの中でホメロスが闇堕ちした理由が語られます。個人的には今まで冷酷な敵という認識しかなかったホメロスに対する考え方を一変させるものでした。

 

ホメロスが闇堕ちした理由

 

英雄グレイグに対する嫉妬

自分も王に認められたいという承認欲求

 

嫉妬と承認欲求という人間にとって厄介な二つの感情が絡み合って、彼は悪の道に足を踏み入れました。

 

ドラクエを初めてプレイした小学生の自分だったら、「それでもホメロスが悪い!とにかく悪いことをする奴はダメだ!」と断罪していたはずです。

でも今の自分にはそれができない。この男は未熟なやつだと断罪できない。闇に落ちてしまう人間の心理がよくわかるからです。

 

自分と一緒に切磋琢磨してきた人間が英雄と呼ばれている現実。その英雄に心の底から拍手を送れるようになるには相当の時間と鍛錬が必要です。

 

人は皆、闇に落ちる可能性を持っています。

映画スターウォーズでもあれだけの予算と時間をかけてダースベーダーが生まれるまでを3部作に渡って丁寧に描いています。ダークサイドは人類にとって最大のテーマなのかもしれません。

 

なぜ勇者(主人公)はこんな悲惨な目にあったのに闇堕ちしなかったのか。

人を恨んじゃいけないよという育ての祖父と母の教え。

冒険に出る前にお守りをくれた幼なじみの存在。

崖から飛び降りてまで自分を守ってくれたデルカダールの姫。

一緒に旅を続けてきた仲間たち。

 

そんな優しい人達のポジティブな想いに囲まれて生きてきたからこそ踏みとどまれた。ホメロスには多分それがなかった。それだけのことなのかもしれません。

 

悪を悪だと断罪するのは簡単ですが、そこにきっかけがあるのも確か。

ホメロス=悪い奴=やっつけてしまえ。そんなシンプルな構造ではないのです。

仮にホメロスと同じ経験をしたとして、自分なら踏みとどまることができるのか?多分できないと思います。ホメロスの闇堕ちについては人の人生とリンクする部分も多いので、かなり考えさせられました。

 

魔王の力を得て、無敵となったホメロスに果敢に挑むグレイグ。

 

まだ俺にも守るべきものがある。

お前が世界を救う勇者なら・・・俺は勇者を守る盾となろう。

いちいち見せ場をつくる英雄グレイグ。

やはりこういう硬派なキャラも冒険には必要ですね。

 

ゾルデゲーム開幕

ホメロスとの戦闘かと思いきや、何の前触れもなく六軍王の1人屍騎軍王ゾルデが登場します。ガイコツ頭に二刀流、なかなか濃いビジュアルです。

ジャコラやブギーには見せ場が与えられていたのに、全く見せ場のなかったゾルデ。

悪者として登場し、悪者として消えていく。何もバックボーンが描かれないというのは悲しすぎます。

 

その分、声優さんが大暴れしてくれました。ゾルデの声はなんとあの若本規夫さんが担当。ドラゴンボールのセル、サザエさんのアナゴさん、すべらない話のナレーターなどで有名な超大御所の方です。THE重厚感の声を持つ方です。

 

ゾルデは登場から消滅まで、戦闘を含めてもわずか30分ほどのキャラ。そこに若本さんを起用するという贅沢すぎるキャスティング。

キャラクターに命を吹き込む声優のみなさんのおかげでドラクエ11sを最高に楽しませてもらっています。ゾルデ戦はヘッドホンの使用をお勧めします。若本さんの声を聞くためにゾルデがいる、そう思えるほどの名演技です。低音がブルブルきますよ。

 

ゾルデ戦でグレイグがひたすら唱えてくれたスクルト。そのおかげで全滅することなく、勝利できました。盾となろうという言葉どおりの行動。回復呪文なんて唱えなそうな見た目なので、ベホイミを唱えてくれるのは意外でした。

 

グレイグは力任せに物理攻撃を繰り返すキャラかと思っていましたが、ドラクエの職業でいうとパラディン的な立ち位置のキャラなのかもしれません。

 

■グレイグの正式加入

ゾルデを撃破し日の光を取り戻し、最後の砦に凱旋帰国。

誰もいなくなった砦。もしや全滅?という空気を漂わせた後の鼓笛隊の登場。勇者と英雄の帰還を祝うための演出を仕掛けていたのです。

ドラクエの世界の人々の団結力の強さに癒されました。

 

王の労いの言葉に思わず涙を流すグレイグ。

そんな2人を割って入る母ペルラ。息子が砦を発つとき「手短に」という冷酷な言葉をかけられたリベンジに成功します。

 

ここではデルカダール王の王としての力量を見せつけられます。

 

今宵の勝利はお前のチカラあってこそのもの・・・。

さればお前のその剣をいまこそ世界のために役立てるときじゃ。

意味はわかるな?

 

デルカダールの民のため、王のため尽力してきたグレイグ。そのグレイグを勇者とともに旅立たせるためのこのセリフも粋でした。

 

業績を褒める、そして鼓舞する。全てが完璧です。

こんな王だからこそ、グレイグは仕えたのだし、相当やりがいを感じていたのだと思います。理想の上司と部下の関係を見ました。

 

このあとグレイグが勇者軍団に正式加入するシーンは見応えがありました。

デルカダール王、かつての部下でもあるデルカダールの兵たち、イシの村の住人たち皆が見ている前で、地面に膝をつき頭を垂れ、勇者への忠誠を誓います。

 

我らが勇者よ。

この命、今日からあなたに預けます。

 

このグレイグの勇気と潔さにしびれました。

なぜ彼が英雄と呼ばれるのか、この行動に全て現れていました。

熱いシーンに素直に感動。

 

勇者とグレイグのぎこちない旅。最初はどうなることかと不安でしたが、実りは大きかったです。

 

皆の者夜があけたぞ。・・・我らの勝利だっ!!

このデルカダール王の一言。

 

これで悪魔の子という汚名を完全に返上。これまでの辛い旅がようやく報われました。ただの夜明けではなく、真の意味で勇者が勇者として生まれ変わった瞬間です。

それにしてもこのシーン。全クリしたかのような清々しい気分になります。

 

グレイグとの再会から勇者の仲間になるまで、そして明かされたホメロスの過去。この崩壊後のデルカダール編でのグレイグ、ホメロスそれぞれの心理描写は秀逸でした。グレイグとホメロスの存在がDQ11をさらに盛り上げているのは間違いありません。

 

大樹崩壊後、最初に仲間になるのがずっと敵だったグレイグっていうのも、物語としては最高に面白い。このマジメキャラグレイグが皆と打ち解けることができるのか。楽しみで仕方ないです。