醸しましょう新婚感、出しましょう親密感の掛け声を筆頭に、ハグの日に関するやりとりは全てコミカルで笑えます。
個人的には離婚してしまったやっさんと離婚しなかったひらまさの両親、その比較が秀逸だなと思える話でした。
■忍耐を強要されたやっさん
離婚届を提出したやっさんとみくりの電話での話。
やっさん
「親にも、周りの人にも離婚するの反対されちゃってさ。子供いるのに何考えてるんだって。旦那の浮気ぐらい水に流せって。でもあたし、どうしても許せなくって。顔見るのも耐えられなくって。私間違ってるのかな、心狭いのかな。この子のためにあたしが我慢するべきだったのかな。浮気されたあたしが悪いのかな」
マンガにもこのシーンはあったのか、ドラマオリジナルなのかはわかりませんが、ドラマにこのエピソードを入れた理由はあまりにもこの問題で苦しむ女性が多いからだと想像できます。
現在30歳前後の女性の親がだいたい55歳から60歳くらいでしょうか。その世代でもまだ離婚に対する考え方はやっさんの親族と同じ古いもの。それ以上の世代だともっと酷いでしょう。
「それくらい我慢しなさい」という考え方は必ず人を不幸にします。
「私が我慢したんだから、あなたも我慢すべき」という考え方は国を滅ぼします。
結婚がゆるくなり、離婚もゆるくなる。それにも問題はあると思いますが、それでも嫌な人間と一緒に暮らし続けるよりも、絶対に別れた方がいい。やっさんのこの選択が正解です。
■忍耐が不要だったひらまさの母
山口県出身のひらまさ。その郷土料理「瓦そば」にまつわるエピソードが良かった。
ひらまさ
「僕にとっては最悪の思い出ですが、母にとっては生涯で一番美味しいおそばだったそうです」
ピクニックに母が持ってきた瓦そばを父が拒絶。それを全てひらまさが処理する羽目になったという地獄のような思い出。
その帰り、ひらまさが寝ている間に実は「本物を食べさせてやる」と本場の瓦そばを食べに妻を連れていっていたことを電話で知ります。
頑固そうなお父さんも実は優しい一面があって、それが2人をつなぎとめている。
ここに我慢や忍耐という概念はありません。
■罪悪感を払拭したあとの幸福感
ハグの日も、公園でのピクニックも全ての原因はいちいち反応して、過干渉してくるおばのゆりちゃん。石田ゆり子さんだからかろうじて許されますが、実際にいたらかなり鬱陶しい類のおばさんです。
「僕たちの罪悪感は僕たちで背負うしかないんじゃないでしょうか?」
そんなおばにすら罪悪感を背負わせたくないというひらまさの優しさ。素晴らしい。
2人が本気のハグをしているのにも関わらず、
「何してんのよ」
と割り込むゆりちゃん。
ストーリー的には全然セーフなのですが、普通はアウトですね。
最後に2人で瓦そばを作るシーン。
これが最終回でも良いのではというほどの幸福感が滲み出てます。
醸しましょう新婚感、出しましょう親密感。
十分すぎるほど達成されています。