鬼滅の刃20巻を読みました。
少し前に1~19巻まで一気に購入し読破した新参者ですが、初の最新巻を堪能させてもらいました。
もはや哲学書レベルの深い内容に圧倒されました。
ジャンプを買い始めた小学生の頃の自分に教えてあげたい。
「漫画はここまでのレベルに進化するんだよ」と。
■毎回安定して生きる指針を与えてくれる鬼滅の刃
20巻のテーマは才能がない者の葛藤です。
才能がないことを自覚している自分としては、これは永遠の課題でもあるので身に沁みましたね。
努力だけでは越えられない圧倒的な剣の才能を持つ弟に嫉妬する兄。
剣を極めることなどどうでもよく、ただ穏やかに暮らしたい弟。
その2人の兄弟の悲しい物語がていねいに紡がれます。
鬼滅の刃では、鬼が消えていく時に必ず自分が間違っていたことを悟ります。
親への感謝の気持ちだったり、妹との約束だったり、弟への嫉妬だったり、テーマは意外にも身近なのでつい感情移入してしまいます。
176話の最後の2ページは圧巻です。
現代の鬼でもある「哀しい転売屋」に成り下がってしまう前に是非ともこの2ページを心に刻み込んで欲しい。
人がダークサイドに堕ちていく時には必ず哀しい理由がある。
その哀しさを疑似体験できることがこの鬼滅の刃の最大の魅力なのかもしれません。
ちなみに主人公炭治郎は回想シーン以外ではひとコマも登場しません。
次巻以降のラスボスとのバトルで活躍してくれるのでしょう。
鬼滅の刃を読むと他人を否定することの無意味さを痛感させられます。
どんな人(鬼)であっても死ぬ間際には、自分の積み重ねてきたおろかな行為を悔いて死んでいくのです。
それならあえて自分が人の罪をほじくり返す必要はないと思えるようになりました。
少年ジャンプは45歳のおっさんにも教訓を与えてくれます。
■作者が女性であることに何の違和感もなし
少し前に作者が女性であることが確定し話題になっていました。前々から言われていたことだし、特に驚きもありませんでした。むしろ男性じゃなくてよかったと思ったくらいです。
男性=野蛮、女性=優しいという偏見を持っている僕にとって当然の結末です。
単行本のカバーの裏の作者のメッセージを読めば、この繊細さは女性特有のものだなと気づきます。そもそもあんなカワイイ文字を書く男性がいたら嫌だよ。
ザコ敵をディスり倒して葬り去るケンシロウ、男性作家。
死んでいく鬼をも優しさで包み込む炭治郎、女性作家。
明白です。
少年ジャンプでは完結を迎えたとのこと。吾峠先生、本当にお疲れさまでした。
人気絶頂での完結は美しい。生き様が素敵すぎる。
今後発行される残りの単行本、無限列車編の映画、アニメの第2期。楽しみは尽きません。